第2話 PASSWORD
お題:真実の扉
必須要素:ソーセージ
時間:30分
ある土曜の昼下がり、ひまだったあいはネットサーフィンしていた。
あいは現役バリバリの女子高生なのに男性経験が無く、そんなにボーイッシュでも特別スポーツが得意なわけでもないのに慕ってくるのはなんでかバレー部の女子後輩だけで、それにちょっとイラッとしてた。だからYouTubeでミカキンでも見ながらだらだらするこの時間は至福だった。
ある日できた他校の女友達の一人が、プリクラ目当ててゲーセン行ったらナンパ男が来てうんぬん、一気に五人ぐらいどうこう言っていたので、遅れるとヤバいという危機感と単純に男友達が欲しいのとで悶々としてて、インターネットをよくよく見ればゲーム好きに悪い人はいないということで、とりあえず鵜呑みにしてみることにした。
でもゲーセンデビューの前に流行りのゲームについて知らないと。
ニワカだと思われるらしいし。
所詮女ゲーマーなんてキャラ萌えなんでしょ?って声もあるらしい、兆とか伊織とか。
でもあいは男友達が欲しかっただけなので19XXやぷよぷよみたいなよくあるやつにしようかな、と思った。
あれなら家で練習できるし、たしかあのシリーズだったらお兄ちゃんが持ってたから。
早速攻略サイトを回る、どうせだったら上手いってみんなに思われて尊敬されたい。
そうだミカキン後にして攻略動画見よっかな、ごめんねミカキン。実はチャンネル登録してないけどこっそり応援してます。本当は私別なYouTuberがタイプです。
そんな風にだらだらゲーム攻略サイトをまわっていたら、ある個人サイトに辿り着いた。
もう更新が止まっているそこは、十何年から運営していたらしく、かろうじてシリーズVC化のニュースを転載しているだけ。
「19XX ノーダメージ、ノーコンティニュー、ワンコインクリアへの道」
ネットでも難しいと言われるそれを毎日ワンコインクリアして、管理人は尊敬されていたらしい。
BBSは「管理人さんみたいになりたいです」「神」という書き込みで溢れていた。
ワンコインクリア、わたしもやりたい。
あいはHPの「攻略」をクリック。
あまり男性の個人HPには見られないものだが、そこには「パス」が掛かっていた。
「実はこっそりエロゲーの攻略もやったりするので、18歳以下がそこに辿り着かないように」
と書いてあったが、今やエロゲーのようなこと、エロゲーで攻略し、攻略されることこそがあいの憧れた。
早速、パスワード入力画面に行く。
「ソーセージはどこにありますか?五文字で」
一瞬、あいの頭は???になった。
ソーセージ、男性の身体には必ず一本あるというあれだろうか。
「股間」
それだけのことだがキーボードが重い、それにそれじゃ三文字だ。
とするとKOKANか、しかし
「パスワードが違います」とつれない。
結局あいはパスワードを解析出来ず、YouTubeで攻略情報を探すこととなった。
◇◆◇
「それでさ、お前、まだその19XXとかのサイト閉じないの?」
「なんでか愛着あって、サーバー代勿体ないけど、まぁいいかって」
「にしても変なパスワードだよな、冷蔵庫って」
「しゃれのわかんない人をこれではじけるし、これがわかんない人は多分精神年齢が幼いし」
男たちが画面の向こうでそう話していたことを、あいは多分知らない。
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