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「悔しいなぁ……」
ぼんやりと霞んだ視界の中、波に揺られながら薄緑の月を眺めている。
周囲の生き物に
白い髪のともだちは、
「楽しかったよ。でもまだ今はその時じゃない」
うなづくともだち。
「わたしが全力じゃなかったの、分かってるよね?」
わたしの負け惜しみに、苦笑を返してくる。
またきっと相手をしてあげる。いまはおやすみ。
そう言って、彼女はわたしの
虹色の光柱と共に去るともだちを、寂しさとともに見送った。
少し疲れた。もうそろそろ眠らないと、おかあさんに叱られる。
あの
じゃあまたね。あなたはわたしの大切な――
§§
疲れ果てた身体を引きずり、明け方の浜辺を一人歩いて行く。
どこへ行けば良いのかは解らない。
それでも、俺は立ち止まる訳にはいかない。
打ち上げられた流木に、ひょろ長い一人の若い男が座っている。
同じ匂い。こいつも
「
「あぁん?」
男の言うのが誰かを悟り、わずかに反応を返す。
だが、いまさら俺がこの男と話すことなど何もない。
「彼女と教え子の行く末を見届けたかったけれど、人である身には大それた望みだね」
「
「ただ長く生きたい訳じゃない。僕は人として知りたかっただけだよ。人であることを捨ててしまったら、恐らく知りたいという僕のこの気持ちも変わってしまう」
「俺の知ったことか。あんたの好きにすればいいだろ?」
素っ気ない俺の返答に、男は苦笑を浮かべる。
「あんまりスマートじゃないが、最後はこれの世話にならないといけないのかな」
男は手の中で銃を
ああ。この男は、同じ気持ちを分け合えると思って俺に話しかけたのか。
だが俺は、あんたと違って諦めるつもりはない。
立ち去る俺の背後で銃声が響く。男が何を狙って撃ったのか、首尾よく目的を果たしたのかなどまるで興味は無い。
振り返らずただ歩き続ける。
END.1
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884676877/episodes/1177354054884676949
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