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町外れの郷土資料館には、小学校の社会科の授業で一度行ったことがある。昔の
「やあ、来てくれたんだ」
ここに来てしまったのは、気弱そうな彼がなんとなく放っておけなかったからだ。案の定、神社の関係者からの聞き取りも失敗に終わったらしい。
「みんな忙しそうでね」
そう苦笑いを浮かべるが、
とりあえず、自分が参加してきたここ数年の様子を話して聞かせる。関係者としてではなく、地元の者としての話だから、わたしでなくても話してあげられる内容だろうけど。
肝心の今年に入ってからの事は、わたし自身が
「ああ、それはちょっと面白いね。浜辺での
何だか楽しそうに話しているところ申し訳ないが、わたしにはよく解らない。
「宮司が
去年の夏、おばあちゃんが海に出掛けたまま失踪した後、ずいぶん揉めたのは覚えている。祭祀がどうこうではなく、相続で揉めていたのだと思っていたが。代々宮司の家系だった秘宮ではなく、
なにそれ詳しくと食い付かれたが、これ以上詳しい話など知るはずもない。代わりに、わたしからおこもりについてどんなものか聞いてみた。
「そうだな……大人が揃って帰って来た祖霊を慰めるという名目で、夜通し酒盛りって所だと思うけど……」
「やっぱり?」
大人だけで何か美味しいものを食べているに違いないという想像は当たっていたようだ。
「ただね、
あんまり子供にする話じゃないけどねと、悪気のない顔で言ってのける。
わたしの笑みが引きつっているのに気付いてか、宗也さんは慌てて「今時はそんなのありえないけどね」と付け足した。
ただ、宮司のほうは……。
「おこもりは保留にできるようなら、出ないほうが良いかもしれないね。何か相談があったらここに連絡して。何か力になれるかもしれない」
不安にさせた事に
「僕はここに滞在しているから、覚えておいて」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884676877/episodes/1177354054884679010
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