夜な夜な

つづる

第1話

 貴方との話をする前に、わたしの話をちょっとだけ。


 少し水深が深いプールが解禁された小学三年生の夏、少しだけ大人になれた気がした。その夏は、皆既日食が起こった。とても特別だった。

 わたしは少しだけ特別な大人になれたような気がしていたんだ。

 今になって思うとませていたというか痛々しいこどもだった、というか今も痛々しいこどものままなのだけれど。

 少しだけ特別な大人だと感じていた当時のわたしは、母が購読していた週刊雑誌をこっそり読んではそのテクニックとやらを近所の男の子に試してみた。

 その男の子は「こんなのダメだよ」とわたしよりも可愛げだった、だが次第に「次はいつするの」と聞いてくるようになった。


 ――多分、これがダメな、クズなわたしの始まり。

 

 当時はそんな意識はなかった、ただちょっぴり恥ずかしい遊び。そう、遊びの延長戦だった。

 そうね、ゲームに勝ったら。明日のテストでわたしより点数が良かったら。と条件を付けては恥ずかしい遊びをした。

 それが子どもがしてはいけないと気付いたのは、母に雑誌を読んでいるのが見つかって怒られた時。

 怒られたからって気持ちいい事はやめられないじゃない、それからは慎重に遊ぶようになって、中学の終わりぐらいに吹っ切れて両親の目も気にせず遊んで。ただ高校の半ばに“こんなクソみたいな田舎出て行ってやろう”と思って、上京してより遊びが過激になった。

 それからしばらくして貴方と出会った。そして、わたしのちょっとした昔話はこれで終わり。

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