4章レ○プ!クッキー☆レベルと化したオマージュ小説

甘枝寒月

ほんへ

この短編はCOAT社の著作物「真夏の夜の淫夢 第四章 昏睡レ○プ!野獣と化した先輩」(編注:年齢制限に配慮し、一部を伏字にしました)からインスパイアされました。

実在のすべてのものに対し、関連はございません。しかし、上記ビデオやその周辺より一部(セリフ等)使用いたしました。

また、学校水泳に関して、現実に対しかなりの変更を加えたことをお詫び申し上げます。


(小説の書き方を忘れたため、初投稿です。なろうとpixivにも投稿しました)



 黒い雲から、とうとう雨が降り出した。


 雨は、先ほどまで耐えていた分を取り戻すかのように、強く打ち付けていく。それが目にも向かってきて、俺は慌てて腕で目庇まびさしを作った。

 ふと、隣から声が聞こえた気がした。

 首だけその方向に向けると、先輩が口を動かしている。けれど、雨の音でよく聞こえなかったので「なんですか!?」とほとんど叫ぶような音量で聞き返す。すると、先輩は口で伝えるのを諦めたのか、身振りで後ろを指し示した。そちらには小さな公園があり、無骨なあばら屋が立っている。

 これぞ天の助け、とばかりに2人でそこに駆け込む。

 屋根のあるところにたどり着けた時には、口から思わず大きな息が漏れだした。横を見ると、先輩も額に流れる水を手でぬぐっている。

 なんとはなしにそれを見続けていると、先輩はこちらを向いて、「大丈夫か? 大丈夫か?」と聞いてきた。

 大丈夫です、と答えると、先輩も安心したのか顔が少し緩んだ。

 先輩は不意に目をそらすと、おもむろにカバンに手を入れてごそごそと何かを探す。手が出てきた時、手には乾いたタオルが握られていた。

「体冷やすと、風邪ひいちゃうからね」

 言葉とともに、タオルは俺に突き出された。

「先輩が先に使ってくださいよ!」と遠慮しても、先輩もがんとして譲らない。何度かそうしていると、無理矢理頭にタオルを乗せられ、がしゃがしゃと掻き回された。

 仕方なくそのタオルを受け取り、体を拭く。服のボタンだけ取って差し入れようとしたけど、服がじっとりと張り付いてうっとうしい。まあ男同士だし構いやしないだろう、と脱いで思い切り手を動かした。

 (流石に外でズボンを脱ぐわけにはいかないので)上半身だけなのもあり、あまり時間もかからず拭き終わって、先輩にタオルを返す。

 先輩が同じように裸になり体を拭いている間、俺は脱いだシャツを乱雑に絞ってカバンの上に置く。少し(いや、かなり?)くしゃくしゃになってしまったが、仕方ないだろう。

「濡れたら喉かわいた……」

 そのつぶやきに、そうですねと返すと。先輩は聞かれた恥ずかしさをごまかすように、一層小さい声で「喉かわかない?」と繰り返した後、周りを見回した。

 数秒もしないうちに自販機を見つけ、先輩はゆっくりとそちらに歩いていく。


 自販機を真剣に見つめる先輩。俺はそんな姿を見ながら、ほんの少し、考え事をした。

 先輩は、先月の夏大会で敗退し、水泳部を引退した。同じ組にいた相手は全国でも指折りの結果を残したし、そんな相手とも互角だった、そう思うのは身内の欲目だろうか。

 最後の大会も終わり、これで先輩も受験に集中。そう思っていたら、その後も先輩はちょくちょく部活に顔を出してきた。しかも、実力のある人は顧問やらが見てくれるからと、部でもみそっかすな俺を指導してくれている。

 口数が少ないながらも、フォームや力の入れ方などを丁寧に教えてくれ。また、遅くまでの練習の日も、本を開きながら待っていてくれる。

 先輩は優しく、ついつい俺は甘えてしまう。


 ぼんやりしていると、いきなり目の前に極彩色ごくさいしきが飛び込んできた。

 いきなりのことに、全身がびくんと痙攣けいれんするのを感じる。

「おまたせ。アイスティーしかなかったけど、いいかな?」

 缶を持ったまま、先輩が声をかけてくる。

 今の時期に温かいものはまだ早いだろうし、無いなら無いで先輩に日は無いだろうに。先輩は申し訳なさそうな表情を浮かべている。

「俺猫舌なんで、冷たい方が好きなんです」

 軽口を叩きながら受け取る。思ったよりも冷たさは感じなかった。

 先輩は顔に元気が戻り、そのまま横に腰かけた。

 カシュ、と乾いた開封音をさせ、缶を傾ける。やっぱり、体の中に入ると冷たい感覚が胃に到達するのが分かる。手に持った時のは、単純に手も冷えていたかららしい。


 一息ついて、缶を置く。


 雨が大きな音を立てて地面を叩く。それが水けむりに変わり、ぶ厚い雨の色をさらに濃く染め上げる。

「先輩は、なんで水泳を始めたんですか?」

 雨音の中に違う音が混じる。なんだ今の、と思った瞬間に気づいた。今のは俺の声だ。

 あ。いや。と、今更ながらにあたふたしていると、先輩は耐え切れないように吹き出して、

「そんな大層なことじゃないよ。単純に泳ぐの好きだったし、いつのまにか、ね」

 そのまま、先輩はこちらを見てくる。

 ほほえみからは、「お前のも教えてくれるよな? 俺もやったんだからさ」という圧力を感じた。

 これは言わないと終われない。

 目を閉じて、言うことをまとめる。

「……俺、数年前までは泳げなかったんですよ」

 数年も前の記憶は、もう色あせたり思い出せないものも多い。だけれど、これははっきりと思い出せる。

「それなのに、川に飛び込んじゃって。当然の権利のように溺れて。呆然と沈んでいく奴を、助けてくれた人がいたんです」

 先輩は、変わらずほほえんでいる。

「だから、その人に見て欲しいんです。あの時のガキはこんなに立派に泳げるようになりましたよーって」

 まあ、まだまだですけど。気恥ずかしくて、そう付け加える。

 先輩はその大きな手を俺の方に伸ばして、頭を撫でてきた。

「お前は十分泳げてるって。大丈夫だって安心しろよ」

 優しい言葉から、真剣に聞いてくれたのが伝わる。

 だからこそ、その慈愛に満ちたしたり顔に少しだけイラっときた。

 その衝動に身を任せ、先輩の缶を取って見せつけるように口に運ぶ。

「あ、それ缶俺の」

「そんなこと気にして。俺のこと好きなんですか?」

 ほんの少し。ささいなイタズラ。そのはずだった。

 しかし、俺の言葉を聞いた先輩はあからさまに動揺した。

 思ってもみなかった反応に、一瞬びっくりして頭が真っ白になる。そして、そこにある一つの考えが生まれた。

 先輩も俺の様子に気がついたのか、やけになったような口調で、

「そうだよ。お前のことが好きだったんだよ!」


 先輩は、言い切った体勢のまま微動だにしない。

 俺は、そこに近づくと、その手を掴む。

 それに反応して、怯えるように先輩の腰がひける。

 逃がすかと、俺はさらに素早く近寄って。

 先輩に、思い切り体を預けた。

「先輩。俺も、好きです」

 たった一言。それを伝える。

 あの日助けてくれた人に。ずっと追い続けてきた人に。

「あの日、俺を助けてくれた先輩が、ずっと好きでした。

 あなたに見てほしくて、あなたを見ていたくて、水泳部に入りました。

 あの日から、ずっと好きでした」

 あの時と同じ、先輩の腕の中で。同じ熱気を感じながら、俺は想いを吐き出した。

 両思いだったことに理解が追いつかないのか、先輩の顔はまだ困惑を濃く映している。

 だが、ためらいながらも、手が俺の背中に回されていく。

 うわ。ヤバい。本当にヤバい。ゾクゾクする。嬉しさが溢れてきそう。

「ふぁ……」

 勝手にため息がでる。その息も嬉しさが固まって飛び出したように思えてくる。

「せんぱい」

 声も、想像したこともないような甘えたな声になって出てきた。

 開きなおろう。記念の日なんだし、とことんまで甘えよう。

「キス、してください」

「そ、それは、まだ早いんじゃないか?」

「ダメです。せっかくの記念日なのに、間接キスなんてダメです。

 初日の思い出がアルミ味なんてオニですアクマですヒドイですボートクです!」

 俺の迫力に押されたのか、先輩の口からは「ああ」とも「うん」ともつかない音が漏れ、やがてその顔が近づいてくる。

 しかし、直前で動きがとまり、先輩がヘタレそうになる。

 その口をふさぐため、俺は体を伸ばしていく。


 いつしか雨は止み、空には虹がかかっていた。

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4章レ○プ!クッキー☆レベルと化したオマージュ小説 甘枝寒月 @AmaeRuna

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