夜の露。墨に浸る。
夜に浸る。海風が私を包んでしとしとと肌が湿って、朝露に濡れる百合のよう。あなたは言う
「夜が好きなの。奔放を許すから」「夜は嫌い。私を浸してしまうから」「夜の海を知っている?美しくないの。まるで墨なのよ」「母なる海。みんな母に還るために海で死ぬのね」「知らないでしょう?死を受け入れる墨の色。幸せね」
結局あなたは夜に浸って、連れ去られて、墨に染まったのでしょうか。
母なる海。あなたは還ったのでしょうか。
一歩。あなたが消えたこと。
二歩。自分が保てなくなりました。
三歩。心の風邪だそうです。
四歩。夜の海に訪れるようになりました。
五歩。夜の浸り方、今なら私の方が詳しいかもしれませんね。
六歩。死を受け入れる墨の色、いま体感しています。
七歩。私は幸せだったかな。あなたが側にいれば、なんだって良かったのだけれど。
夜に浸る。海水が私を包んで、肌は呼吸を忘れる。母なる海に還ったあなたが私を包む。あなたがいるので、なんだって良いです。
目は口ほどに、心はもっと。 糸吉 紬 @tsumu_lemon
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