流星群の夜に
@ginga_uduki
午前~15時
流星群は数多く接近するものではない。
だから大多数は流星群の時期になるとこぞって流星群の話をするようになる。
翔達もきっとその1人に見えているのだろう。
「そろそろ流星群の季節だな」
「そうね。ただ天気予報はあまりいい感じではないみたい」
天文部在籍の2人からしたらなんてことはない会話だが、大型の流星群とかぶるこの時期はテレビなどでも大きく取り上げられるため2人の会話は少しだけ小声になる。
「てるてる坊主でも作る?」
「どうせ他の人達もつくってるだろうからおれたちがわざわざ作ることないだろ」
「それもそうね」
教室での会話を終え部活の時間に備えた。
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授業が終わると2人はすぐに部室へ向かった。
部室にはすでに他の部員が集合していた。
「翔に未来やっほー」
「若菜、もうきてたのか」
「今さっき来たとこだよ」
「じゃあこれで全員揃ったね」
そう。天文部は翔に未来、若菜を加えた3人だけなのだ。
「今日さ、教室で流星群の話しばっかり聞かされちゃったよ」
若菜の愚痴が始まった。だがこれも大型の流星群がやってくるたびに訪れるため、特に珍しい光景ではい。特に若菜は天文部員なので余計に流星群の話題が集まってくるのだ。
「うちの教室でも流星群の話ちらほら聞こえてきたよ。昨日夜のニュースで流星群大接近、って大々的にやってたからみたい」
「未来たちんとこでもかー。この時期になるといつも空も見上げない人が急にしゃしゃり出てくるよねー」
「そういうなよ。逆に言えばこんな時期でもないと夜空を見上げるなんてだれもしないんだから。おれたちみたいの以外は」
翔と未来は幼馴染で昔から親の影響もあって天体ショーをよく観察したり、それ以外のときでもよく夜空を眺めたりしていた。その影響もあって、この学校で天文部に入ったのだ。そこで出会ったのが若葉だった。若葉も昔から星が好きだったようで、よく星を眺めていた。だが翔たちのように親が好きだったり、幼馴染の星好きが近くにいたりなんて状況がなかったため、なかなか星の話を誰かとするということはできなかった。
「でもそれだったら流星群がいつ来るかくらいちゃんと覚えてればいいのにね」
だから大型の流星群などの一大イベントのときにだけ星を見ようとする人が少し苦手になっているのだ。
そうこうしているうちに部室に来客者が現れた。これもこの時期になると珍しい光景ではない。
「あのー、流星群て何時頃に見られたりするんですか?」
若葉が言っているのはこういうことだ。流星群のことを取り上げているテレビを見たり自分たちで話をしているのに、当の流星群がいつ見られるかがわかっていない人が多いのだ。だから天文部に聞きにやってくるというわけだ。
「今日の深夜帯から見れるかな。大体23時ごろから空を見上げるのがいいと思うよ」
受け答えをするのは基本翔の役目になっている。
「そんな夜遅い時間帯なんですね! ありがとうございました!」
時間を聞きに来る人は多い、だが。
「多分あの人達流星群見ないよね」
時間が遅いだけに見る者は実際少ないのが現実だ。翌日にやっている朝のニュースで流星群の映像が流れるのを見て、見た気になるパターンが多いのだ。
「そういうなって。注目されてるだけでも良しとしとこうぜ若菜」
「納得行かないけどそういうことにしとくわ」
いつもより少しだけ忙しい部活が始まった。
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