魔法を知らない錬金術師
クレヨン
第1話使い魔のあいさつ
ガラリの街は、錬金術の街と呼ばれている。
錬金術……大地にある石や植物、動物の一部分などを煮たり焼いたりして便利な品物に変える技だ。
ここガラリの街には、その条件が揃い過ぎている。
ガラリの街を創った昔の偉い人がいた。
魔術師と言われた人で、今でも敬意と尊敬する人間は多いとか聞いている。
でも僕は興味はない。
ごめん、少し話がそれた。
その魔術師がここに街を創った理由がある。
魔術師は、大地の、水の、海の、山の、その恩恵を受けることができる場所には人々に恵みをいっぱいくれる女神様がいると予言した。
その場所がここ。
昔はすごいジメジメした場所だったらしいけど、魔術師が王様にお願いして普通の場所にして魔術師が街を創造した。
となると、魔術師が創造したは嘘かな。
だって王様にお願いしたり、人にいっぱいお仕事して貰ったんだから。
理屈はここまで、そうしよう人間が言う理屈は!
え? 僕は人間じゃないのか?
うん、違うよ。
はじめまして!
僕は クッキー と言います。
使い魔なんだよ。
ようはパシりです。
はい おしまい。
もっと聞きたい?
仕方ないな、教えてあげよう。
コホン!
僕は クッキー です。さっきも言ったけど、これが僕の名前です。
何の素材(ベース)でできているか?
クマ……のぬいぐるみです。
綿モン、そう呼ぶ奴もいる。
本当のクマは、素材(ベース)には危険なんだって。僕は見たことないから、よくわかんないよ。
さて僕は誰の使い魔か?
「キィ━━━━━━━━」
こら、エナちゃん静かに、しようよ!
「あばばばばばば」
エナちゃん、走らないで下さい。
エナちゃんは走りません!
「キィー」
……ふう
これが僕のご主人様で、エナ様と言います。
僕は普段は、エナちゃんと言ってます。
エナちゃんはいつも元気で、お茶目で、よく笑う、ご機嫌斜めにもなるけどさ。
年齢は……何歳だったかな?
少年には間違いないけど……とにかくエナちゃんは超個性的で超天才なんだ。
「ダダダダダ」
はいベッドのお部屋では、走りません!
「ダダダ」
エナちゃん聞いてる?
エナちゃん、走らないでよ!
「キイ」
そうそう、エナちゃんはエライ! だから走りません。
「う━━━━━」
……やっと止まった。
ヤレヤレヤレヤレ、ふう。
エナちゃん、工房にエミリア先生が来るから、お片づけしようね。
僕はエミリア先生の、似顔絵を「隙間(チャック)」から取り出して見せてあげる。
隙間(チャック)は、エナちゃんが創った品物で、ズボンや上着についているアレが浮いているんだ。
どこに浮いてると思う?
空間だよ。
どこにでもある空間に、漂っているんだ。
でもただ漂っているんじゃあない。
エナちゃんの近くに、何時でも漂っているんだ。
コレはエナちゃんが、超天才と言われる理由なんだ。
他の人間には、想像も、創造も、できない。
それをやってのけるんだ。
それから、今後はチャックで通すからね。
これがわかりやすいから。
僕が浮き上がると……え? 何か?
あっ、そうか!
浮き上がるね
僕はチビだから、地面から宙に浮けるんだ。とは言っても、エナちゃんの目線の高さくらいまでなんだ。
もっと高くにいたいなあ。
エナちゃんはエミリア先生の似顔絵を見ると、何も言わずに工房にいく。
そそくさとした行動に、どこか緊張しているのかな?
エミリア先生は厳しいからね。
でもエミリア先生は僕を、創造してくれた人間なんだ。
そして、宙に浮いている能力をくれた。
エミリア先生の説明は、少し置いとくね。
いずれはしないといけないけど、今は少し違うから。
エナちゃんは超天才なんだ。
なんでも創造してしまう。
すごく頭がいいんだ。
……うん、いい。
そして超個性的なんだ。
マイペースでワガママで、笑う時は弾けるように大声で笑い、気に入らない時は大声で暴れる。
純粋で、正直者でもあるんだ。
素直なんだ。それにみんなが、「やりたい」思いを率先してやっちゃんだ。
だから……だから、みんなからは、変な顔をされる。
なぜなら、みんなと違うから。
みんなと同じに、できないから。
変なヤツ!
そんな感じで、みんなが見ている。
エナちゃんがすごいのは知っているけど、どこか冷めた視線が超天才を見るんだ。
エナちゃんは一生懸命なのに!
みんな知ってほしい。
エナちゃんのことを、そしてわかってほしいエナちゃんのことを、だから……
僕はエナちゃんとその仲良しの人間が巻き起こすドタバタを見てもらおうと思っています。
そのための物語をみんなに、伝える。
エナちゃんと言う、超天才で超個性的な人間を!
「う━━━━━━━━」
あっ、エナちゃんが工房で何かしてる。
少し見に行ってくるね。
みんなも気になったら、追いかけてね。
それじゃあ!
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