第3話 俺、人外?ハイブリッド吸血鬼?
「そういう事だ。お前は簡単には死なない。まあ最低300年はな」
そう言って親父はくるくるっと銃を回転させて内ポケットに仕舞う。
何だそりゃ。
本来なら俺は断固無視する。
でも今は動かぬ証拠がある。
しかも証拠は俺自身だ。
「一体何なんだ」
悔しいが話を聞いてやる。
「お前の正体は
「冗談だろ、そんな単語はゲームと話の中だけにしてくれ」
常識論で反論するが、証拠の一部は既に見てしまった。
「何ならもう一度確認するか」
親父はそう言ってすっと拳銃を構える。
「よしてくれ」
治るとわかっていてもあれは結構痛い。
さっき体験してもう懲りている。
「まあいきなりそんな事を言われても信じる奴はゲーム脳くらいだな。なら他にも証拠を見せてやろう」
「痛いのはもうごめんだぜ」
俺、ちょっと弱気になっている。
「例えば私も
ふっと親父の姿がかき消える。
そしてそこにはぱたぱたしている小型小動物が居た。
まあコウモリという奴だ。
チャンス!
俺は手元の漫画本を投げる。
残念、コウモリはすっと避けてしまった。
そしてまた人間の姿に戻る。
「油断も隙も無いな。まさか狙っていたとは」
「さっきの銃弾のお返しだ。どうせこれ位では死なないんだろう」
「まあな。さてここからが本題だ」
親父はそう言うと、何処からとも無く中身入りの角3形紙封筒を取り出す。
「高校1年途中で失敗したお前にもう一度チャンスをやる。この学校に入学しろ。手続きはしてある」
え、何だって。
「聞こえなかったか。高校への再入学のご案内だ。もう一度青き春を楽しめるチャンスだぞ。今度こそはリア充を目指せよな」
聞き間違いじゃなかったのか。
でも。
「親父、俺はもう36だぜ。今更高校って年齢じゃねえよ」
そうなのだ。
既に外見は立派な中年男。
いや、髭ボウボウ髪ボサボサの立派じゃない中年男だ。
「甘いな。吸血鬼にとって外見年齢など意味はない。つまりだな」
親父は右手をすっと上に上げる。
「イェィ!」
あ、外見が20代に若返りやがった。
でも。
「親父、ポーズが古い」
今の時代にプレスリーはないだろう。
「悪いな。これでも400歳は超えているんで50年程度は誤差だ。
そういう訳でお前もきっちりと若返らせてやる。ついでに能力も少し引き出しておいてやるから安心しろ」
若いままの親父は俺に向かって右手を突き出す。
「どーん!」
その声とともに来た強い衝撃とともに、俺の意識はあっさりと消え失せた。
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