異世界の便利屋さん!

秋野 夕暮

第1話 まさかの転生

 私にとっては夢のある物語。

 いつか行けたらなんて妄想もいっぱいした。

 でもまさかあんなことになってしまうなんて・・・


「う、うぅん」

「お、起きたでござるか?」


 変な喋り方の男の人が話しかけてきた。いやござるってなんだその語尾。


「いやはや、心配したでござるよ。道のど真ん中に倒れていたでござるから」


 と、ござるさん(仮)が私の顔を見る。なんか想像してた顔と違う・・・ん?


「はぁ?道の真ん中?そんなわけないでしょ?だって私は・・・あれ?」


 何してたっけ?おかしい・・・何も思い出せない・・・そもそも私の名前なんだっけ・・・?


「どうしたでござるか?急に黙り込んで」


 いや、何も思い出せないんです。と言おうとした瞬間、勢いよくドアが開いた。


「バン!!今帰ったぞ!」

「その擬音自分で言うの!?」

「なんだこいつ?おい、イカ!まさか迷い猫と間違えて連れてきたのか!?」

「そんなわけないでござる!あと自分の名前はイカルガでござる」

「ちょちょちょちょっといいですか?ここは一体?そしてあなたたちは誰なんですか?」

「質問が多い!」

「たった2個ですよ!?」

「まあいい答えてやる。ありがたく思え。」

「高圧的過ぎない!?」

「いつものことでござる」

「やかましい!まずここは町の便利屋そしてこの俺はこの店のエリート超店長!ジャクズレだ!」

「自分はイカルガでござる。よろしくお願いするでござる」


 と、ござるさん改めイカルガさんが手を差し伸べてきた。


「あ、どうも。こちらこそよろしくお願いします。」

「して、貴様の名はなんだ?」

「それなんですけど実は名前思い出せなくて・・・」

「なんと!記憶喪失でござるか!」

「まぁーた面倒なものを引っ張ってきてくれたな!イカ!」

「面倒って・・・」

「いや、待てよ・・・よし!とりあえず記憶が戻るまで面倒見てやる。いいか、“記憶が戻るまで”だ。戻った後は知らん。」

「いいんですか?」

「右も左もわからんやつを放ってはおけん。しかし、条件がある。」

「それは・・・?はっ!エッチなことはダメですよ!」

「胸を隠しながら言うな!それにお前のそのちっさい胸に興味はない!」

「ちっさいって言った!1番気にしてることなのに!」

「はいはい、2人とも、ケンカはやめるでござる」

「だってござるさん!あの人が!」

「ござるさん?」

「ござるさんだってよ!こいつはいい!イカ!今日からお前はござるだ!」

「あのイカルガさん!いまのは別に悪い意味で言ったわけじゃないんです!その」

「いや、ちょっと気に入ったでござる」

「えっ」「えっ」

「えーっと、とにかく!お前にはうちの仕事を手伝ってもらう!」

「ええぇぇえっ!?できませんよ!やったことないですし」

「じゃあいますぐ出て行ってもらうが?」

「それは困りますよ!」

「じゃあ、働け。馬車馬の如く!」

「うう・・・わかりました。できる限りのことはします」

「それではこれからよろしく頼むでござるよ。ミケ殿」

「へ?」

「おお、確かにお前捨て猫みたいな感じだな!お前の名前はミケに決定だな」

「嫌ですよ!もっと他にないんですか!?」

「残念貧乳娘。略してザンス。」

「ミケでお願いします。」


 と、いうことになりました。

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