スペシャルハッピーイベント!
夏の夜。煌く星に永遠の愛を誓い合いました。
秋の夕暮れ。これまでにない温かい秋をおふたりは過ごされました。
冬の夜明け。白一色の雪の朝をおふたりでお迎えになられました。
そして、春、でございます。あけぼののさくら色した薄雲が水色の空にアーチをかけます。
パレス六条のヴィレッジすぷりんぐはまさにこの世の春でございます。さくら池の周りの桜が満開でございます。自身の姿を水鏡に映すかのように桜の枝が水面に伸びております。池の縁取りがさくら色でございます。まさにその名のとおりのさくら池でございます。
七夕にご結婚なさった夕さまと雲子さまはおふたりがお育ちになった三条大宮邸をご新居になさいました。おふたりのおじいさま、おばあさまは天国へと旅立たれましたが、おふたりがご結婚なさり、ご自分たちのお屋敷で暮らしていらっしゃることを恐らく誰よりも喜んでおいでのことでしょう。
内大臣家にて正式な結婚披露宴は夏に行いましたが、夕さまのお父さまである光る君もご自宅パレス六条で縁のある方々を招いてあらためて結婚式をしようと思い立たれました。大切な夕さまの門出を祝うイベントのために半年以上も準備に費やしこの日を迎えました。
パレス六条にお住まいの方はもちろん、夕さまや雲子さまのご友人や光る君ご自身の縁の方々もお招きいたしました。みなさまヴィレッジすぷりんぐのお屋敷やさくら池の周りの
ヴィレッジすぷりんぐの北側のヴィレッジさまーの馬場から白馬に乗った夕さまが登場なさいます。黒の
さくら池のほとりまでおいでになると、夕さまは馬を降りられ、舟にて水上に設けられた祭壇へと向かわれます。壇上にお立ちになるとヴィレッジすぷりんぐの西隣のヴィレッジおーたむの方をごらんになります。
ヴィレッジおーたむのもみじ池とすぷりんぐのさくら池は繋がっております。そのもみじ池の方から一艘の舟が滑るように祭壇へと進んでまいります。春の花々でデコレーションされた舟に乗っていらっしゃるのは雲子さまとお父さまの内大臣さまでございます。
流れている音色はパイプオルガンでございます。今日のこの良き日のために光る君が設置なさいました。奏者は光る君と明子さまのお子さまの姫子さまでございます。賛美歌の調べが会場に響きます。夕さまのカッコよさにざわついていた会場内が次第に厳かな雰囲気へと変わってゆきます。
内大臣さまが雲子さまのお手をおとりになり祭壇へと導かれます。そして雲子さまのお手を夕さまへと託されます。
純白の十二単をお召しになられた雲子さまでございます。長い黒髪は紫子さまのSKJチームビューティーによって洋風にアレンジされ、ヴェールを纏っていらっしゃいます。もちろんメイクもネイルもチームビューティーが担当しました。花子さまのSKJチームヒーリングはブライダルエステやアロマを担当しました。パレス六条の大勢のスタッフがおふたりのお役に立ちたいと心を尽くしました。
「すごく綺麗だ。雲ちゃん」
夕さまが惚れ惚れとそう言えば、
「夕くんもとっても素敵」
雲子さまもうっとりと夕さまを見上げられます。
お手を取り合うおふたりの姿に参列者はまたもや感嘆のため息でございます。
「それでは結婚式を始めます」
パレス六条の
会場には源ちゃんズが配置についております。皆インカムを付けてサポート態勢バッチリでございます。本日の仕切り役はもちろん弦一郎でございます。例によってまたもや分単位のスケジュールが組まれております。仕切り屋弦一郎の真骨頂ですわね。
雲子さまの付き添いであるブライドメイドはSKJのかすみ、あられ、しずくが務めます。夕さまの
夕さまに雲子さまを託した内大臣さまは池に張り出している釣殿(東屋)に移られます。そこには光る君がいらっしゃいます。花婿、花嫁のお父さま同士ご一緒に式を見守られます。
桐山の立ち合いによる人前式の結婚式が進みます。
おふたりの誓いの言葉に続いて指輪の交換でございます。れんげの花のそれを贈ったのは遠い遠い春の日のことでした。指輪は夕さまがオーダーなさいました。プラチナリングに雲子さま用には紅珊瑚の花をあしらいました。
「大きくなったらけっこんしようね」
あのれんげの指輪に誓った約束を叶えたおふたりでございますね。
たっぷりとしたチュールのヴェールを夕さまがあげられます。幸せそうな雲子さまの微笑みでございます。夕さまの瞳も優しく温かでございます。
その先の展開を予見するSKJたちが色めき立ってきたようです。フライングで気絶するものもいるようですわね。見たいような見たくないような、ぞわぞわざわざわと几帳の隙間から覗く者やら逆に隠れる者やら騒然としてまいりました。
そんな周囲の雰囲気にクスリと笑った夕さまはスッと雲子さまの頬を優しく撫でられました。ふふふふふ、とおふたりで仲良く微笑みあわれます。
源ちゃんズ7人による結婚行進曲が流れます。和楽器バージョンでございます。水上の祭壇から池のほとりへと橋が架けられます。夕さまが雲子さまをエスコートなさっておふたりで橋を渡られます。まるで天の川を渡る彦星と織姫の伝説のようだと皆が見惚れます。感激して涙ぐんでいる女性もいるようでございますね。
池のほとりから寝殿前の南庭へといらっしゃいました。夕さまのご友人やSKJの皆がフラワーシャワーで祝福なさいます。
管二のトランペットと管三のトロンボーンによるファンファーレが鳴り響きます。
「えっぶりばーでぃー! ご注目~!!」
元気な管一の声が響きます。
「花嫁の雲子さまによるブーケトスを行います。未婚の女の子は集まってくださーいっ」
夕さまと雲子さまのような劇的ラブロマンスにあやかれますよー、と管一が明るくアナウンスします。管一は本日の司会の担当でございます。賑やかでパーティー大好きな彼にうってつけの適役でございますわね。
未婚の方限定なので残念ながら対象外の方もいらっしゃいます。
「わたしたちだって取ってみたかったわ。ねぇ?」
紫子さまがお隣の明子さまに話しかけれます。花子さまも笑っていらっしゃいます。
「さあ、まこちゃん、いってらっしゃいな」
玉子さまは紫子さまだけでなく、花子さまや明子さまにも送り出されます。
他にも結婚していないSKJもぞろぞろと出てまいります。チームすぷりんぐのももにいちご、さまーのきなこ、ういんたーのさざえにあさり、かすみたち雲子さまのSKJもおりますわね。
春の花々を集めたブーケを手に雲子さまは簀子縁で庭にいる皆に背を向けて立たれます。お隣の夕さまと顔を見合わせて微笑まれます。
「行きますよ――」
夕さまが女性たちに声をかけます。雲子さまが後ろ向きにブーケを投げられます。淡いさくら色のブーケが青空に幸せの弧を描きます。
わぁぁぁぁぁっ
歓声があがります。
華やぐ春の晴れの日。
煌くふたりの寿ぎの日。
清らかな日。
麗らかな日。
本日はこれ以上ないほどにパレス六条平安なり、でございます。
♬BGM
主よ人の望みの喜びよ バッハ
結婚行進曲 メンデルスゾーン
✨『げんこいっ!』トピックス
弦二郎「あいかわらずスンゲーな弦一郎の指示書……」
管二 「お前さ、毎回毎回どうよコレ……」
弦一郎「ひとりずつ分単位で指示を書いたけど、秒単位までいるか?」
管二 「あほかっ! 分単位だって予定通り動けるかっ!!」
弦一郎「俺がインカムで1分ごとにカウントするから」
管二 「要らんっ! かえってうるさいっ!!」
弦三郎「そんなこと言ってクリスマスのときも指示書暗記してたよね?」
弦四郎「そうそう、お屋敷の見取り図まで書いてた」
管二 「うるさいっ! 仕事は仕事だろうが」
管一 「えらいねぇ、管二ちゃん」
管二 「ちゃかすなっ!!」
管三 「まあまあ、いいんじゃない?」
弦一郎「ここのファンファーレ、30秒前倒しの方がいいんじゃないか?」
弦一郎以外「……………………」
管三 「まあ……、いいんじゃない?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます