死ぬほどキミと? 座談会
ブルームーンに乾杯
「ミタ、調子はどう?」
「ええ、壱の巻を書き終えましたわ。藤子さま」
「膨大な人物紹介だったわね」
「そうでございますわね」
「お疲れ様。これもヤツの遍歴が多すぎるからよね」
「これでも端折りましたわよ」
「知ってるわよ。全部
「不老不死の
こちらは拙宅の仕事部屋でございます。カタカタとPCに打ち込むわたくしの隣で、窓の向こうに見える青い地球を眺めながら、手持ち無沙汰に呟いていらっしゃるのは藤子さまでございます。大きな窓に面したカウンターテーブルにはカクテル゛ブルームーン゛が置かれています。もちろんBGMはジャズナンバー” Blue moon ”でございます。まぁ、わたくしどもの眼下に広がるのは青い月ではなくて、青い地球、なのですけれどね。
「それにしても人のことを憧れだ、永遠の人だと口では言うけれど、どうなのよアレは」
カクテルグラスに少しお口をおつけになったあと、今度はお指でナッツ類をもてあそんでいらっしゃいます。
「藤子さまへの想いが成就しなかったからだなんて正当化なさってますわよ」
藤子さまは苦笑なさっておいでです。
「こんなチャラ男のスケコマシストーリーがベストセラーなんてヤマトって国も変わった国だわね」
ミニスカートから伸びたすらりとした脚を組みなおされる藤子さま。スタイル抜群、でございます。
「藤子さま、それでは身も蓋もございませんわ」
眼下に広がる青く美しい地球。
「キライでなかったのよ。むしろ好きだったわ。でも、カレの気持ちに応えることはできなかったし、わたくしは
藤子さまは指さして壱の巻の話数を数えておいでのご様子でございます。
「そうはおっしゃられましても、藤子さまのご本心は存じ上げておりますわよ。年齢差といいますか寿命差ですわよねぇ」
そうなのでございます。お口ではこのようにおっしゃっておられましても藤子さまの想いは存じております。もう長いお付き合いですから。
「まぁそうなるわね。カレの命は余りに短いもの」
禁じられた「種族を超えた恋」ですものね。
「魅力的な殿方でいらっしゃいますわ」
今までカクテルグラスの縁を撫でていた藤子さまはちらりとわたくしをご覧になってから視線を地球へと向けられます。
そうそう、花言葉のようにカクテル言葉、なんてものがあるそうなんですよ。゛ブルームーン"のカクテル言葉は2種類あるのですけれど、これがまた絶妙に藤子さま向けなんですのよ。藤子さまご存知なのかしら?
「ふぅ、そうねぇ。今となってはいい想い出になるのかしら? あら、ミタ、何を食べようとしているの?」
「パンプキンプリンでございます。お召し上がりになられます?」
「かぼちゃをくりぬいて器にしているのね。可愛らしいわね。いただくわ」
「そういえばクリスマスは楽しそうだったわね」
「日本初のクリスマスなんて言われた例のイベントでございますか?」
「そうよ。わたしたちも行きたかったわね」
「ですからそんなことなさったらどうなることか」
「いいじゃない。夢のプリンセスコラボ」
なんやかんや言ってもお心は残していらっしゃる藤子さまでございます。
「ねぇ、ミタ、今度は泣ける純愛モノなんて書いてみない?」
「スケコマシコメディですのに、路線変更でございますか?」
藤子さまお得意の思いつきでございます。
「ダメかしら? 笑いあり涙ありって」
「涙要素ございます?」
「そこは作るのよ。パンプキンプリンいただきながら案を練りましょ。そうね、悲恋がいいかしら? やっぱり「全米が泣いた!」がいいんじゃない? ふふふ。設定はどうしようかしら? 禁断の恋? いけないけれど盛り上がっちゃうわよねぇ。そうねぇ、兄と妹? 先生と生徒? あ、政敵同士? それは月子サンでもう使っちゃったわね。ね、ミタ聞いてる?」
藤子さまの妄想はさておき、これから第2部、弐の巻でございます。まだまだ続く源ちゃんとプリンセスとの恋物語。それにここからは源ちゃんズたちの日常も描いていきます。新しいキャラも出てまいります。お楽しみになってくださいましね。
「トキメキは 夢かまことか 煌めいて」
藤子さまが上の句をつぶやかれますのでなんとなくわたくしも続けてみます。
「めくるめく恋 麗しのキミ」
「あら、いいカンジ」
♬BGM
Blue Moon
渚のシンドバッド
✨『げんこいっ!』トピックス
゛ブルームーン ゛カクテル言葉
1.完全なる愛 → めったに遭遇しない出来事、幸福な瞬間
2.叶わぬ恋 → その告白は受け入れられない
✨源ちゃんたちのクリスマス
『げんこいっ!』番外編
『ジングルベルを鳴らそう』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884320907
時系列で言うと壱の巻→『ジングルベルを鳴らそう』→弐の巻となっております。よかったらご覧ください。なお、『ジングルベル』をお読みいただかなくとも弐の巻をお楽しみいただけるようには書いております。
☆壱の巻 『死ぬほどキミに恋してる』
その二 死ぬほどキミと? 座談会 fin.
Next 弐の巻 『本日もパレス六条平安なり』
平安風ガトーショコラはいかがかしら?
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