第4話 みんな仲良し!
「グルルルルッ、グルルルルっ」
「あはは、ポチ。くすぐったいよー」
こちょこちょこちょ。
ケルベロスのポチはお腹をくすぐってあげると喜ぶみたいだ。
体は凄くおおきいけど、仰向けに転がって「まだまだ?」ってこっちをせかしてくるのを見ると、かわいいなーって思えてきちゃう。
まるで、柴犬のポチと遊んでいたと気みたいだ。
このポチと遊んでいると不思議と落ち着くんだよね。
僕は、小屋の檻の中に入って餌を上げた後は、退屈してたみたいだったポチと遊んであげてる最中。でも、他のマジュウ達のご飯はどうしよう。ギューブさんは、ポチのエサしか持ってこなかったけど。うーん、聞きに行った方が良いかな。
「ポチ、お座り! 僕そろそろ行かなきゃいけないんだ。だから良い子にしててね」
「クーン」
でも、どこかに行こうとするたびにポチに悲しそうに鳴かれると、離れたくなくなっちゃうんだよね。困ったなあ。やっぱりあのポチと似てるからかな。
そんな風に困っていたら、アイリスちゃんとギューブさんがやってきた。
「ノゾミ、大丈夫か! ……なっ」
「これは……」
だけど、二人とも口を開けて固まっちゃった。
驚いてるみたいだけど、何かびっくりするようなものこの部屋にあったかな。
「食われるどころか……な、仲良くなっとるではないか」
「これは、予想外ですね。魔獣の飼育経験でもあったのでしょうか」
マジュウの飼育経験はないけど、柴犬のシイク経験ならあるよ。
ひょっとして、ちゃんと僕がお仕事してるかどうか身に来たのかな。
「あ、餌はちゃんとやったよ」
ほら、と空になった容器を見せるとまた口を開けてびっくり。
二人共、本当にどうしたんだろう。
「ねぇねぇそれより、二人共見てよ。ポチ、すっごく頭良いんだよ。……お手!」
「グルルッ」
「おかわり!」
「ルルルッ」
「伏せ!」
「キャイン!」
ポチの右手をタッチして、左手をタッチして、さらにペタッと地面に体をくっつけるお願いすせば、もうアイリスちゃんもギューブさんも、顎が外れちゃいそうな顔になっちゃった。変なかおだ。本当づしちゃったんだろ。
「芸がしこまれとる」
「ええ、しこまれてますね」
しばらくぼーっとしていた二人だけど、アイリスちゃんは急に笑い出した。
「ふふふ、そうだな良いことを思いついたぞ。面白い奴じゃな、気に入ったぞノゾミ。あーはっはっは!」
「アイリスちゃん、どうしたの?」
急大声で笑い出された僕もポチもびくっりで一緒にびくっとなっちゃったけど、アイリスちゃんは凄く楽しそうだったから、なんだか僕もつられて楽しい気分になって来た。後いっこ発見。いつも可愛いけど、アイリスちゃんて笑うともっと可愛いんだ。
「ノゾミ、お前を正式に魔王城の魔物の世話係にしてやろう! ケルベロスをたやすく手懐けたその腕前、相当な物じゃ。他の魔獣の世話もこなして見せよ!」
「本当!? 僕生き物のお世話大好きなんだ! 精一杯頑張るよ。アイリスちゃんって優しいんだね、ありがとう!」
学校でも毎年生き物のお世話係を任されてるんだ。それだったら得意だよ。お世話になっているアイリスちゃんの為にもこれから頑張らなきゃ。
僕は檻の向こうにいるアイリスちゃんの手を握ってぶんぶんと振った。
「あ、ありがとう……? ふむ、そうか。それなら童の為に存分に働くのだぞ。期待しておる!」
「わーい」
そんなアイリスちゃんの横でギューブさんはため息だ。
「魔王様、給料をやってどうするのですか。あれは人間なのですよ」
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