ハッピーエンドの定義
夜煎炉
Ⅰ.雪の白、緑色の双眸
「お前、
「……」
「まあ、こんな雪の日にそんな薄着で
「……」
無視だ。無視。
それこそ“大抵の”人間は、こうやって無視していればオレに興味を無くして去っていく。時々逆ギレも甚だしいんじゃないかって位の暴言を残される時もあるけど、一々気にしていられない。
と言うか。
可哀想な男の子に同情して声を掛けてあげる、私、もしくはオレ、やさしい!
……なんていう自己陶酔に付き合ってやる気はないのだ。
時々自己満足の為かオレに声を掛けてくる人間はいるけれど、オレとしてはよっぽど、放っておいてくれる方がありがたい。
ゴミを見るかの様に不愉快そうな視線を投げ付けてくる人間も少なくないけれど、そっちの方がオレの精神衛生上はありがたいのだ。
「とは言え、選択肢は幾つか浮かぶ。でもどれも決定打に欠けるからな。だんまりを決め込むなら、こっちで勝手に推測するぞ?」
オレは、“やさしい自分”という自己陶酔に浸りたいだけの人間の相手をしてやる程、やさしくはない。
だからこうして何時も通り黙り込んでいれば、声音からして男だろう、今話している人物も匙を投げると思ったんだけど。
……どうやら、その考えは甘かったようだ。
オレが黙り込んでいてもお構いなし。心が折れる事も、怒る事もないのか、変わらないトーンで話し続けている。
それこそオレが何か反応するまで、ずっと粘ってるんじゃないかと思ってしまうには十分だった。
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