【巨大】冷蔵冷凍庫【秘話】

 皆さんは、冷蔵冷凍庫と言えば、先ず家庭用の物を思い浮かばれるでしょう。

 中には、業務用の冷蔵冷凍庫。

 極稀に、人が何人も出入りできる、建物の様な大型の冷蔵冷凍庫を、知る人は知るでしょう。


 そんな、建物の様な大型の冷蔵冷凍庫には、【必ず内側から】扉を開けられるようになっています。


 それには、こんなお話が・・・



 元々、大型の冷蔵冷凍庫が設置されるのは、極々限られた環境で無いと需要がありませんでした。

 その環境とは、週間単位~数ヶ月単位にわたっての長期運航を必要とする貨物船。

 兎にも角にも、大型船は補給をするといった事が易々とは出来ません。


 今でこそ、保存の利く加工品が増えたものの、その頃は保存食と言えば缶詰や瓶詰、干物など。今でいうレトルトパウチなんて常温で保存可能なものは、まだ影も形もありませんでした。


 そんな頃に、超大型の冷蔵冷凍庫はとても画期的で、おいそれと簡単に設置する事は出来ません。ですが、逸早いちはやく取り入れた船も在るには在りました。



 そんなとある貨物船に乗る、とある機関長は、その船で最もエライ船長よりも、良い食事を常に出されるそうです。


 それは何故か? それは、機関長の寝言に秘密があった・・・


 その機関長の寝言のワケとは・・・


 この機関長、夜中に船の冷凍庫に潜り込んでいた所、それと知らないコックに扉を閉められてしまい、翌朝になってから文字通り【冷たくなって】発見された。


 寝言が言える事から、一命は取り留め、五体満足だったものの、真っ暗になって熟睡するとその時のトラウマからか・・・「畜生! ぜってぇゆるさねぇ! ぶっ殺してやる!」と大声でわめき立てる事から、どの船のコックもビビってしまい、船長よりも良い食事が出る・・・らしい。


 でも、当の機関長はその時の寝言の事など全く覚えていないらしく。いつも翌朝には、ケロリとして仕事に励んでいたのだとか。



 この事から、人を閉じ込められるほど大きな冷蔵冷凍庫には、内側から扉を開けられる仕組みが付けられるようになった。


 これはその【機関長】と直接話をした人から聞いたお話です。



 なので、大型冷凍庫の中に人が閉じ込められる様な事は、通常であるなら起こり得ない。意図的に閉じ込める事はあり得てしまうので、入る時は必ず声掛けをする事になっているそうな。



 そんなわけで、大型冷凍庫の扉の傍には必ず完全に閉められない様にする為のストッパーが仕掛けられる。

 扉の周りには決して物を置かない約束が取り決められている。


 それを守らないと・・・・・・【冷たくなって】しまうかも。

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