異世界転生したけど前の世界と一緒だった、嘘。
シウタ
秋葉原
誰もいない、電視台が光っている、誰も去らない。
電視台から言葉と映像が流れてくる。
「ただいま入りました情報によりますと、秋葉原駅前に周辺に飛翔体が落下、けが人が多数出ている模様です。また周辺の建物にも被害が出ているとのことです。お近くの方は可能なら地下施設に非難し最新の情報にご注意ください。
あ、たった今入った情報によりますと落下した飛翔体とな……が、交戦状態に入ったようです。繰り返します、秋葉原駅前周辺に落下した飛翔体と……」
電視台の映像は砂嵐に包まれた。
上空を炎に包まれた大岩が通過して中央大通りの真ん中の青い電気店の建物に突き刺さる。地面が震えた。今日は快晴、日曜日、歩行者天国はまだ終わっていなかった夕方。砕け散る数々、散乱するあらゆるそこにあったもの。人が飛んだのが見えた、ゆっくりと現実とは乖離した時間感覚が脳に後再生される。細やかな粉塵の中で人が倒れているのも見える。高音が木霊して耳がよく聞こえない。人は逃げる、人は泣き叫ぶ、またある人は僕の肩を揺さぶって何かを叫んでいた。
後方から三人が駆け出した、僕は風を感じた、手に長物を湛えている。逃げる人々と交差しぶつかりその速度が弱くなると一人が痺れをきらしたように奥歯を噛み舌打ちのような動作で口を開き歯を見せた時、次に跳躍した。常人の跳躍できる距離と高さではない背丈の10倍は高く飛んでいる。空中で長物の鞘を抜いた、刃が夕日を反射する。
地がもう一度揺れた、隕石が突っ込んだ建物がまた震え中から細身の人ではないものがすごい勢いで視界に現れ跳躍中だった人を手で払った。腕を離れた刃は宙を舞い、その人は地面に叩きつけられた。液体が地を這う、僕は人の悲鳴がようやく聞こえるようになってきた。まだ人は出てくるあらゆる建物から、いったいどこにこんなに人はいたのか。まだ逃げている。いたるところで生まれ数多の別の人生を辿った人達の生死の別れが今この場面に集約されている。あの異界の人ならざるものは放っておけばここにいる全てを蹂躙するのではないか、刃は宙を舞い落ちて目の前の道路に突き刺さった。硬い舗装された道路に突き刺さる刃、その様に輝きに、また人界ならざる力を感じ取れた。僕は歩みそれに手を伸ばそうとした。
以前にもこんなことがあった気がした。そういう感覚に突然襲われることは誰しもあるはずだ。この場面はどこの既視感だろうか。
「なぜ僕がここにいるんだろう」
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