高校時代

すーぱーはくと

第1話 事の始まり

 ふぅ...。5月のとある金曜日。俺の名前は高千穂遼たかちほりょう高校1年生。三重県の熊野の高校に通っている。今終礼を終えて生徒達が帰ったり掃除をしている。

「はいちりとり持ってきたったで〜」

「どうも」

今俺にちりとりを差し出してきたのは俺の隣の席の月詠神姬つくよみかむいという結構可愛くて明るいしおっぱい大きい女の子だ。中学の時に知り合って出席番号、席も隣同士...なんと家も隣同士(お互いの部屋の距離に関しては1mも離れていない)。毎日一緒に通学してたまに遠くに遊びに行ったりと仲のいい俺の大切な友達だ。しかーし、付き合ってはいない。というか友達以上の感情を抱いたことが無い。

 そして掃除を終えて学校から出て神姬と一緒に俺の家帰った。俺の家は尾鷲にある少し大きい一軒家でその隣が神姬の家。神姬はよく俺の家に来て一緒に勉強したりゲームしたりたまにお泊まりしたり、と結構家に来ることが多い。早速2階にある俺の部屋にカバンを置いてテレビとゲーム機の電源を付けてゲームしていた時だった。コンコンコン!!!突然俺の部屋のベランダの窓ガラスをノックする音が聞こえた。え?何?強盗?カーテンをサっと開いた。ぬぇぇえええっ!?なんとそこには俺と同じ制服姿の女子高生4人組がゾンビのように窓にへばりついていた。

「光!?澪!?えぇっ!?な、何で!?」

しかも見覚えのある女子達だった。神姬とよくいる女子達だ。神姬がめっちゃ急いでガラーっと窓をあける。

「ふぅううう...し、死ぬかと思ったじゃないかぁああ...」

「暑がっだでずねぇぇぇええええ...」

「え、ど、どなえしたん...?ちょ、遼、コップ4つ持ってきたって!!」

「う、うん」

何がなんだか分からないがとりあえず部屋に入れてコップを人数分持ってきてジュースを注いで渡してジュース飲まして事情聴取が始まる。

「えっとー...どうやってベランダに入ってきたんですか?」

「どうやってって...横のでかい木に登ってあのベランダに移ったのさ」

「いや猿かよお前ら」

そうクールに話すのは同じクラスの忍海光おしみひかる。俺の一つ前の席で喧嘩っ早い女の子らしい。身長は179.8cmあって女子では1番身長が高いしバスケがめちゃくちゃ上手い。

「じゃあ...何でインターホン押さなかったの?」

「何回も押したんですが壊れてたみたいで...」

「あー...」

そう敬語で話すのは同じクラスの委員長を務めるくせ毛でメガネ女子の蔵王善子ざおうよしこだ。基本誰にでも敬語を使うが親にはタメ語らしい。

「そんで玄関どんどん叩いても気付かんやろうしどないしょうか迷とったらこの部屋の電気付いとったん見えてん。せやから木登りしたんですわ」

そうバリっバリの関西弁で話すのは同じクラスの三国ヶ丘澪みくにがおかみお。神姬と同じ関西人で大阪の難波に住んでいた。最近髪を切ってロングからショートヘアになって男女問わずに可愛くなったと話題を集めてる。

「あんな筋力使ったの久しぶりだったわね~」

そうちょっと上品に話すのは1組の稲枝愛いなえあや。澪と同じ体育委員をしている。中学時代は元々東京の六本木のタワーマンションに住んでいたと言う。まぁこの女子達は神姬と仲が良くて毎日一緒に居る。俺も少し喋るがそこまで深入りはしていない。

「てか...何で来たん?」

「暇だったので神姬さんの家に突撃訪問しようとしたのですがお母様から隣のこの家にいるということを聞いたので来ました」

「バリ迷惑やん」

「てかお前らはここで何してたんだ?」

忍海がめちゃくちゃ不思議そうな顔で俺と神姬に問いかけてきた。

「見ての通りゲームしとってん」

「へぇ.....お前ら本当に仲いいな」

「あ、そうや神姬、まだあれ聞いてへんの?」

「え?...あ〜、ほんまや」

神姬がそう言うと皆が嬉しそうな顔をして俺を見ている。

「ど...どしたの?そんな嬉しそうな顔して」

「ふふふぅ...遼君よ、君にお願いがあってやな...」

皆が俺の前に正座する。すると一斉に土下座し始めた。

『どうか私達のメンバーに入って下さい!!!お願いします!!!』

......えっとー...何?め、メンバー?

「...ど、どういう...こと?」

「と言うのもわたし達は」

「顔上げて良いから」

俺がそう言うと皆が一斉に上半身を上げる。

「その...わたしらってよう喋ったり遊んだりしてるやんか?」

「う、うん」

さっきも言ったが確かにこのメンバーは家族じゃないか?ってくらいの仲良しだ。この前は鳥取砂丘に行ったり九州旅行に行ったりお互いの家にお泊まりしたりととにかくずっと一緒に居る。

「んでな?5人やったらゲームする時とか2組に分かれる時にバランス悪なるとかで最近もう一人メンバー欲しいな〜って思っててん」

「ほ、ほう...?」

「その候補者として遼ええんちゃうん?って話し合っとってんけど...ど、どない?」

「ど、どない...」

なるほど...もし俺が加入したとしたら男1人と女子5人か...すんげぇ状態になるな...って待て。

「何で俺なの?」

「何でって...遼ってわたし以外友達居らんやろ?」

「えっ...ま、まぁ確かに...」

神姬の言う通り俺には神姬以外友達はあまり居ない。神姬と基本一緒に居る。学校で1人の時はスマホで調べ物するか寝てる。確かに1人は正直寂しいっちゃ寂しいし高校生だからワイワイしたいのもある。でも女子5人と男子1人ってどうなの?うーん...と考えていると神姬が提案してきた。

「もちろん強制はせーへんで?その...お試しで1週間ってのはどう?」

「そうですね、体験してからの方がいいかもしれないですね」

「お試しかぁ...まぁ、それでいいんなら...」

「え?ほ、ほんまに!?」

「う、うん」

「やった〜!!んじゃ、来週の金曜日に入るか入らんか決めてや?」

グゥうぅぅ〜。

「...その前にお腹減りましたね」

「そうだなぁ」

 と言うことで。

『かんぱーい!!!』

近くのスーパーに行って色々買って俺の部屋でパーっと夕食兼体験入団会を開きはじめた。

「なんか...凄い事になってるな...」

「基本金曜日の夜はいつもこんな感じでパーっと疲れを放出して楽しんでるな。これが終わったら基本その人の家に寝泊まりするようになってるのさ」

「そうなんだ...って、え!?ここに泊まんの!?」

「本来ならな。でも今はお試しだからアタシ達は神姬の家で泊まるけどな」

え、寝泊まりするの...?これがもし忍海の言う通りなら寝れなさそうだぞ...えぇ〜基本寝るの一人がいいんだけどなぁ...。

「え?スマブラやんこれ」

「ホントだ!!」

皆がソフトのパッケージを手に取る。

「や、やる?」

『やります!!』

皆が目を光らせてやりたがってると言うことなのでコントローラーを追加する。割と静かにゲームが進むのかと思えば思ってた以上に白熱した。数十ゲーム重ねて行くと喋ったことのない人ともかなり白熱して楽しくなってきた。

「...死ね...えっ!?ああああああ!!!」

「げぇーむせぇっつ...!!!!!」

澪と俺の1対1で澪がスマブラ初心者でよくある自滅を発動して俺が勝って澪が発狂している。気が付けば皆の事下の名前で呼んでいた。

 「ってもう23時じゃないか」

「この辺でお開きにしますか?」

「せやね。片付けして寝よっか」

「え、あ、いいよ。俺がするから」

「いいのよ、家に入れてくれたお礼よ」

「あ、そ、そっか...ありがとう」

お言葉に甘えて神姬達に部屋を片付けて貰った。おぉ...業者並みに綺麗やないか...。と言うことでお休みと言って俺の部屋から神姬達が出た。...楽しかったぞ?普通に。え?こんな感じだったら...いや待て待て、よく考えろ。部活の体験入部の時とか先輩とかがめちゃくちゃ優し〜く接してきて「お!?ここめっちゃええやん!!ここ入ったろ!!」って決めて入部したらめちゃくちゃスパルタだったりもう想像を絶するほど厳しかったりとか...そういう話よく聞くからなぁ...入ったらこっちのモノ思考の可能性も高い。まぁ...まだ1日目だし...神姬そんなやつじゃないし...もうちょい様子見だなこりゃ。

 そっから次の日と次の次の日と伊勢神宮行ったり心霊スポット行ったりして月曜日からはいつも教室で一人で食べてる弁当を校庭とか食堂で皆と一緒に食べたり放課後は近くの駄菓子屋でラムネを飲みながらベラベラ世間話したり...めちゃくちゃ楽しい時間を過ごした。

 そして...金曜日の放課後。近くの駄菓子屋にて『やったぜぇええ!!!』と皆がUCが流れそうなくらい喜びまくっている。俺は正式にメンバーに入る事になった。

 これが、俺の高校生活を大きく変えるきっかけとなった。

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