第49話吸血姫さくら
私の名前はさくら。ここワ国で春と呼ばれる季節に薄桃色の花をつける木と同じ名前をもつ
父の名は
母は居ません。亡くなったそうです。
でも信じてません。
なにしろ出生の秘密と称して父には散々騙されましたから。
父はいまから300年ほど前、ワ国の武術家が好んで着る道着・・・両袖を破いてましたが・・・を身にまとい、赤い鉢巻を締め「俺より強いヤツに会いに行く」と宣言して武者修行の旅に出たそうです。
150年ほど放浪して、剣虎拳なる身体強化魔法と赤手空拳を組み合わせた武術の創始者として帰ってきたそうです。
そして16年前、わたしが生まれた年に鉢巻の色を白色に変えて再び旅に出ました。
なんでも、お隣のチュウカナ大陸に420年ぶりに
そして10年前、父が従属させていた吸血鬼の支配が解かれたことで、父が何者かに倒されたことが判明しました。
大変です。
父はワ国で一番高い不治と呼ばれる山の地下に、場所は広いけど、規模的には村と呼ぶのもおこがましい集落の王でした。
そうです。王が後継を指名することなく死んだのです。いや、不死であるアンデットが死んだというのは何か違いますね。
消滅したというべきでしょうか。
話が逸れました。
で、王が後継を指名することなく消滅したのです。王位を継承するには、父の遺品・・・父の遺体から出現したであろう魔石が必要です。
なぜ?と質問したら、父はお約束事だと言ってました。
魔石って属性を与えると蓄えたエネルギーを放出して消滅するよね?って聞いたら、父が身につけているアイテムが効力を発動させて魔石を封印するそうです。
不死者である吸血鬼にとって旅の準備をしてきた10年はほんの一瞬だったけど、人間の世界で父の痕跡を辿るには長すぎでした。
・・・お話を聞いてくれてありがとうございます。
チュウカナ大陸ではお世話になります。サラさん。
嫁さんが再び旅に出た。今回の目的地はワ国。
ワ国の特産品である清酒を作るための酵母と米麴の入手。それと、あわよくば拠点入手。
ゲートで一瞬とか言ったので、ゲートを開いた先に人間がいたら大騒ぎになるから今回は普通にって言ったら納得してくれた。
ついでに商業ギルドを通して港湾都市ジャンにも部屋を借りておく。
ここから王都ホッキョウまでだと距離が近すぎて、機密漏洩の観点からアイテムボックスもゲートも使わない方が良い。
しかし、それ以外の場所なら話が変わってくる。
なにしろ今の俺は、順調にダンジョンを拡張したせいか行動範囲がダンジョンから半径四日以内しかない。
これは、気軽に行き来できる大きな都市が王都だけという状況だ。
調子に乗って広さだけはあるからな・・・、
あ、気にするなラージアント。裏ダンジョンを縮小する必要は無いぞ。
嫁さんのおかげで、行動制限はめでたく解除の予定だからな。
とりあえずアイテムボックスと宝石生成のレベルあげのため、方解石を作ってはアイテムボックスの中へ収納していく。
あとは100個を単位に方解石をアイテムボックスから取り出し、不純物を取り除いて長さ10センチのロウソクを模した形へと形成していく。
結果、ゲートスキルを習得するまでに、方解石をふんだんに使った無駄に豪華なシャンデリアが三基出来上がった。
市場には流せないし、一応この世界の後見人である
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