第47話ゲートキーパー・ネームドモンスター・ユニークモンスター

「裏ダンジョン踏破の褒美だ。何が欲しい?」


 俺の問いに首無しスケルトンソルジャーのカシン・コジを含め全員が名前を望んだ。カシン・コジは過去の決別だろう。そして残り3人はネームドモンスターへの昇格。あ、カシン・コジも理由は同じなのか。カシン・コジというネームドモンスターだと・・・ああ、俺が命名したわけじゃないから扱い的には自称なのね。了解。


 で、このネームドモンスター、基本的に強い個体に付けられる通称なのだが、ダンジョンでは別の意味を持ってくる。

 ダンジョンコアのレベル次第では、階層守護者ゲートキーパー最奥階層主ボスモンスターに設定できるのだ。

 いまの俺のダンジョンコアのレベルだと、階層守護者ゲートキーパー最奥階層主ボスモンスターを1組。この階層守護者ゲートキーパー最奥階層主ボスモンスターに設定すされたモンスターはダンジョン内にいる限り不滅である。

 厳密には「倒されて冒険者に経験値とアイテムを提供しても時間経過とともに死ぬ前の状態で復活することが出来るようになる」だけどね。


 首無しスケルトンソルジャーのカシン・コジに虎児こじ。ホブゴブリンに温羅うら。美人なレギュラーオークに瀧夜叉たきやしゃ。スケルトンマジックユーザーに雨艸あまくさ。という日本風な名前を与える。


 うん。あとで輝さんにワ国に似た名前とかないか聞いておこう。そして被っていたら謝ろう。心の中で・・・


「では名付けの儀を行います。カシン・コジから魔法陣の上に」


 ウブの指示に従いカシン・コジが魔法陣の上に立つ。気のせいかな・・・悪い予感がするのだが。


「カシン・コジよ。以後、虎児を名乗れ」


 ウブの宣言と同時に魔法陣から光が零れだしカシン・コジの身体を包む。


『スケルトンソルジャーは真名を得て特殊モンスターユニークモンスター雑兵デュラハンに進化しました』


 ウブが厳かに宣言すると、光の中から生首を抱えた鎧武者が・・・ちょっと待とうか。

 デュラハンが陣笠を被った首を抱えた首無しの落ち武者(和風)ってなんだよ。しかも鎧といってもザ・足軽って感じのボロい胴鎧。いや、名前が和風だからいいのか?いいか、いいのか・・・


「ウブ。もしかしなくても、他の3人も特殊進化したりするの?」


「虎児のように劇的な進化は稀ですが」


 ウブが誇らしげに答える。いや、そこで胸を逸らされてもですね。


「続けてくれ」


「ではホブゴブリンよ魔法陣の上に」


 ウブの指示に従いホブゴブリンが魔法陣の上に立つ。そして、すべての名付けの儀が終わったとき目の前には見た目が変わった4体のモンスターたち。とりあえず暫定四天王たちを鑑定をする。


名前 虎児

性別 男

年齢 不詳

種族 雑兵デュラハン(不死族)

総合レベル 30

職 戦士Lv.10 

スケルトンソルジャーから特殊進化した。外見は170センチの生身の陣笠被った首を抱えた足軽。


名前 温羅

性別 男

年齢 不詳

種族 赤鬼

総合レベル 30

職 戦士Lv.10 

ホブゴブリンから特殊進化した。外見は180センチのマッシブな赤い肌の人間。

額に二本の小さな角が生え、下の口から覗く太い犬歯がのぞく。

肌が鉄のように固く鎧を必要としないため男ならパンツ1丁。女はビキニである。

パンツ・ビキニともに虎柄の個体には注意が必要である。


名前 瀧夜叉

性別 女

年齢 不詳

種族 イレギュラーオーク

総合レベル 30

職 狩人Lv.10 薬師Lv.5

レギュラーオークから特湯進化した。外見は173センチの胸にスイカ大の乳を盛った細マッチョ。

オークの面影は僅かに残る鼻の形のみという美女。


名前 雨艸

性別 不詳

年齢 不詳

種族 スケルトン賢者

総合レベル 30

職 魔術師Lv.10

スケルトンマジックユーザーから進化した個体。外見は・・・眼窩に怪しい赤い光を灯したローブを着た骸骨術士。


 めでたく全員が特殊モンスターユニークモンスターに進化した。しかも全員が大陸共通言語を習得しているのもありがたい。念話でもスムーズな会話もできるけど、念話での会話は絵面的にシュールだからね。


 彼らはレベルが上がれば裏ダンジョンの階層守護者ゲートキーパー最奥階層主ボスモンスターに指名するつもりだ。


「自己研鑽をしつつ部下の育成に励むように。それぞれにダンジョンの一階層を任せるので、改装や要望も聞く」


 一息ついて四人を見回す。


「ちなみに、階層は最奥階層以外は定期的に入れ替えることができる。奥に配置されるということは評価されてるということだ」


 四人の目がキラリと光った・・・気がした。

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