第41話 SIDEヤエ ここは王立北京学園~入試~


私の名前は阿久井・メディチ・八恵。16歳の高校1年生。

名前から判ると思うけど、日本人の父と祖母が日本人であるクオーターのアメリカ人を母に持つワンエイス。というらしい。

くすんだ赤みの強い金髪ショートに長身は多分、祖父譲り。

文系オタクな両親に似ず、バスケットボールの特待生として祖母が経営し両親が教員を務める私立万梨阿学園に入学。

祖母と両親の七光りは学校の定期テスト二桁順位と入学早々からバスケ部の1軍控えの地位をもぎ取って黙らせた。


まぁ、イジメた同級生はいたけど、一度殴り合いの大喧嘩してからは私の隣にいる。

なんて熱血マンガ?って父さんに笑われたのはいい思い出。

金髪で身長175センチ越えの私と、身長150センチの江戸っ子気質のちびっ子、市松一美のデコボココンビは学園でも有名です。


さて、いま私は両親と共に異世界に来ています。

この世界ではヤエ・メディチって名乗ってます。


一か月ほどワ国にあるカラテの道場の住み込み門下生として暮らしていましたが、程なく母さんが迎えに来てくれました。

イケメンダークエルフとか聞いてません。母さんなのに男って・・・

ただ、このインパクトのお陰で父さんが若い女性だったというのはあまりショックではありませんでした。


いま私は、両親の勧めで王都にある組合ユニオンで専門の知識を習いに来ています。

治癒魔法は必須なので、一度は教会の門を潜らなきゃならない。

いまの拳闘士見習いを活かすのなら、治癒魔法を習得してから武闘家モンクという職業ジョブに進むのがいいらしいです。


この手のファンタジー系のゲームはやったことが無いのでイマイチ分かりませんでした。

なのでいま、私のもつ固有スキルを使って猛勉強中です。


私の固有スキル図書館ライブラリ

地球とこの世界で私が読んだことのある本をいつでも頭の中で閲覧できるスキル。


ただし、立ち読みしただけの本は一回。借りた本は借りている間中。買った本やは売るまで無限に閲覧が可能。

あ、ネットで公式サイトから配信されてる無料の作品は立ち読みした本に準拠。

立ち読みしただけの本をもう一度読みたい場合は、地球の私がもう一度読む必要があります。

そしてこういう異世界転移モノが大好物な一美に感謝。


王都の冒険者ギルド2階にある会議室。

バラバラの年齢の異なる種族の人間が10人ほどの机に座っています。

組合ユニオンで専門の知識を習うための試験を受ける人々です。

あ、二人ほど王立ホッキョウ学園の入学試験を受ける人もいました。

そして、ともに同じ試験を受ける仲間でもあります。


この世界、為政者を教育するための王立学園と職業訓練学校でもある組合ユニオンがありますが、入り口となる試験は同じです。

ついでに教える場所も同じです。

これは教える講師が少ないというのが理由のひとつですが、一方で官民交流という側面もあるようです。

過去には西の隣国マッサチン公国の騎士伯に取り立てられた冒険者もいると、王立ホッキョウ学園の入学試験に挑む人から聞きました。


「えーいまから選抜試験を始めます」


妖艶な女教師という表現がピッタリと来る、銀髪の狐人ワーフォックス玉藻さんが、竹簡を置いていきます。

問題用紙は紙でも羊皮紙でもなく竹簡です。

基礎知識を問うものなので、問題ないそうです。


試験は国語、算数!、歴史、魔法、体力の五項目20問。合計で100問中40問以上正解なら合格。

魔法と体力は半分が実地試験です。


「では始めてください」


玉藻さんの合図と同時に試験が始まりました。


☆ ☆ ☆

血縁はこんな感じです


曾祖父(米)-曾祖母(日)

      ↓

      祖母(米、学園長)-祖父(米)

              ↓

              サラ(米)-ユウ(日、主人公)

                  ↓

                  八恵

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