エピローグ(裏)

 アメリカへ向かって飛ぶ個人所有の飛行機で、ロイド・ギアはノートパソコンでデータをチェックしていた。

 と、モニターが暗転し、銀刺繍の黒いローブを身につけ、顔をベネチアンマスクで覆った怪人が表示された。

【サイクロプスは回収されたぞ】

 機械的な音声がパソコンから漏れる。

「そのようだねえ。彼も案外甘い。跡形も残さず消してくれると思ったんですがねえ」

【あの傭兵はこちらで処理する】

「そうしてもらえると助かります」

【天照はどうする? アレは確実に覚醒した。時が経てば神魂を使いこなすぞ?】

「その方が面白そうですけどね。

 まあ、しばらくは、そちらも手を出さないように。

 なに大丈夫です。かの悪神はそちらでも確認出来たのでしょう? もう天照を護る者は神州には入ってこられません。月読が戻る前に片は付きますね」

【アレを使うのか】

「ええ、アレです。今回のデータが役に立つでしょう。散財の甲斐ありですね」

【道楽者め】

「どうせなら、道化と呼んでほしいものです」

【理解出来ん】

 モニターが再び暗転し、怪人の姿は消えた。

【理解など不要です。僕はただ、この顔を楽しんでいるだけなのですから】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る