『言霊の幸ふ國』(お題:祝う)

お題:「祝う」

ジャンル:和風ファンタジー

注意事項:色々混ぜ混ぜしてありますので絶対に鵜呑みにしないでくださいね! わりと嘘です。



『言霊の幸う國』



彼らは、はふりと呼ばれた。


薄衣うすぎぬを纏い神の御前で舞を奏し、ひらり、ひらりと羽衣を振る。

そのなよらかな舞に神の心は慰められ、一年の間に沈殿した罪や穢れははふられる。

歳の末、晦日に行われる追儺ついなの儀だ。


諸々の禍事罪穢れは祓戸はらへどの神のもとへ。

ちまたの鬼にはほどこしを。

我らが御祖みおや、天つ日の神よこの国を守り賜え。


舞いながらにして神を降ろすはふりの口から零れる言葉は、言霊のさきわう國の新たな歳を祝す。


その圧倒的な力を、帝の寵を得て朝をほしいままにする時の権力者は怖れた。


祝は朝を追われ、忌むべき鬼と誹られる。

陰陽師と呼ばれる官吏が鬼を調伏すると言って彼らを殺戮した。

そして、最後の一人になった少女がさきわう。



言霊の幸う國の明日を――滅びよ、と。

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