『物語のパイ』
「サーモンとホウレン草のパイ作って!」
クリスマスは何食べたい? とお母さんに聞かれた私は答えた。大好きな小説に出てきた料理だ。
竜や魔法使いの物語に出てくるのは、シチューパイやミートローフ、見たこともない料理だった。本にはレシピもある。
「材料は何?」
スモークサーモンにクリームソース……異国の響きだ。
具を煮込んでパイシートで包む。フォークで端を閉じて、オーブンでこんがりと。
オーブンでおかずを作るなんて、物語の中でしか知らない。それを作って、食べる。
期待で世界はきらきら光る。
ちんっ! とオーブンが鳴って、じゅうぅ、とパイの油が弾けた。サクサクのパイを崩して、あつあつのソースを一口。
憧れた世界の味がした。
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