異世界で初めてパーティーに入れた美少女が元クラスメートで魔王だった件 第0部 -須賀 希里花の章-

柊木緋楽

Day:0

第1話「いじめ」「加賀谷くん」(改稿中)

 1.「いじめ」


 私は、須賀 希里花。

 一見普通の、一見ちゃんとした、一見悩みのない中学3年生の女子。

 でも、私には、ある悩みがあった。

 それは……


 朝。私が教室に入ると、必ずと言って良い程、花が花瓶に入れて置いてあって、その横ではお線香が焚かれている。

 私は花瓶の中の花をいつものように、窓から投げ捨てて、花瓶は棚に戻す。

 そしてお線香は、火を消してゴミ箱に捨てた。

 片付ける私の背後から聞こえる、クスクスとした笑い声。

 翌日はもっとひどい。

 机上いっぱいに書かれた、罰言雑言。

 ここまで言うと大抵の人はわかるだろうが……、そう。明らかな「いじめ」であった。


 2.「加賀谷くん」


 でも、いくら私が周りからいじめられようとも、彼……加賀谷 勇一くんだけは、いじめないで、周りの人を注意してくれた。

 もう、私の味方は彼だけだった。

 でもある日、彼は突如学校から姿を消した。

 彼が交通事故にあって、入院したらしい。

 これは彼が、入院中の話である。

「おい。なんか返事しろよ。」

 女子三人組が椅子を蹴りながら私の前に顔を出し、話す。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」

 この三人だ。

 この女子三人に私はいつもいじめられていて、私は怖くなって萎縮して、謝るほかなくなる。

 リーダーの女子が私の胸ぐらを掴んで言う。

「今さら謝っても無駄だから。さっさと死んでくれない?迷惑なの。」

 私は特に、何もしてない。

 ああ。どうしていつもこうなるんだろう。

 なんで。

 なんで。

 なんで。

 なんで。

 なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで

「なんで!……あ」

 思わず、心の声が出てしまった。

「は?」

 彼女たちの視線がさらに冷たくなったように感じた。

 ……もう、終わりだ。

 いや……

 こうなったら、もういっそ思いを全部、ぶちまけよう。

「なんで。……なんで、いつも私ばっかり! なんで!こんなに嫌な思いをしなくちゃいけないの!」

 私は言うと、彼女の服の裾を掴み、引っ張る。

「ちょっ!てめっ!きたねー手で掴んでんじゃねえ!」

 私の引っ張る手を、振り切るように彼女は身体を揺らす。

「なんで!あなたたちは私をいじめるの!」

 わたしは彼女を引き戻すように、裾をもう一度掴む。

 だが奇しくも振り切られる。

「お前うっせーんだよ!」

 彼女は私の顔を、思いっきり殴ると、私から鼻血がいっぱい出た。

「なんで……。なんで……。なんで……。」

 鼻血と涙と鼻水で顔がくちゃぐちゃなのは感覚的に分かる。

「くっそ。血が付いたじゃん!キッタねえ!こんな服捨てた。……あ。そうだ。あんたの服貸してよ。そっちならあまり血も付いてないしさ。」

 そんなことになったらわたしがきるふくがなくなってしまう。

「い……や……。」

「はあ?イヤ?」

 彼女は私の悲痛な声を、嘲るように笑うと、吐き捨てるように言う。

「私があんたの服借りたら、私は血が付いた服を着なくて済むし、あんたは羞恥プレイできてウィンウィンでしょ。」

 狂気じみた笑顔を浮かべ、彼女は私の服を掴む。

「いや……いや……。」

 ただ、必死に訴えることしか出来なかった。

「服貸せって言ってんだよ!」

 彼女は私のお腹を強く踏んだ。

「かっ……はっ。」

 衝撃に耐えかねた私は、床に血を吐いた。

 それはきれいな緋色だった。

「うわっ。こいつ鼻血出した上に吐血までしたよ。どんだけ出したいのよ。体液露出趣味でもあるわけ?」

 言いながら、彼女は嫌そうな顔を浮かべつつも痛みに悶え這いつくばる希里花に近づく。

「そ……。そういうわけじゃ……。」

 私が否定するも、彼女はまた頬を叩いて他の二人に言う。

「もういいわ。こいつの身ぐるみ剥いでやって。」

「は……? ヒッ。……いや、いや、いや、いや、いや!」

「フフフフフ…………」

「いやああああアアアァァァァ!」

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