宝石の蟲

なのるほどのものではありません

プロローグ:宝石は人を呪う

 宝石は人を呪う


 そんな話を聞いたことはないだろうか?

 有名なところだと『ホープダイヤモンド』。『フランスの青』とも呼ばれた、巨大な青いダイヤモンドだ。持ち主は次々と不幸になり、無残な死を遂げたという伝説を持っている。実際にはかなり脚色きゃくしょくされているし、革命の時代に権力者たちの手に渡っていたのだから、持ち主が非業ひごうの死を遂げてもおかしい話ではない。

 だが、その宝石が放つ美しい光のかげに、人々はいくばくかの恐れを抱かずにはいられない。


 もっと身近な話をしよう。


 石を買う人の中には、金に糸目をつけない一定の顧客がいる。石への執着が常人の理解をいっする一握りの人々だ。

 断言できる。彼らは少なからず、石に呪われている。


 なぜなら、宝石がそういう風にからだ。

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