色彩感覚 sense of color
米松 香
第1話
「やっぱり、つまらんわ」と誰もいない文芸部の部室で読み切った文庫本を枕にして作った自分専用のベットでゴロゴロしながら独りでに言った。なんでこんなにも1日がつまんなくて、ぱっとしないのだろうか。部屋には昨日食べたカップラーメンや今までに読んだ膨大な量の本や雑誌などが乱雑に散らかっていた。去年そんな堕落した生活を打ち切ってきたというのに、いざまた大学に行くことになるとどうしても気がめいってしまう。仕方なく午後からの授業の支度をして部室を出た。 今から1年前、これから訪れる大学生活に少しながら胸を躍らせていた。多少世間話をする程度の友人もでき、何となく大学に慣れてき始め幾つかの講義を受けていた。初めのうちは、こんなもんかと教授の全く面白くない話に耳を傾けていたが、大学初めての夏休みを前に、全く大学に行かなくなった。それから、1年が過ぎた今、大学がつまんないことには変わりないないのだが、何とかだだっ広い講義室に必修科目の単位を取るためになんとか足を運ばせるようになった。
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