幸せ者の憂鬱

第1話

貧困率が強者より弱者の方が高い。異常で尚且つ男でも妊娠出来る弱者、オメガが生まれる世界、インフェルノは犯罪被害者の大半が弱者で尚且つ指名手配と死刑囚の大半が男と言う名の強者。まるで現代日本のような世界、インフェルノは往々にして面食いの強者ストーカーの目に留まる美貌を持って生まれた弱者には危ない地雷原のような世界。

…ちょっとモノ事が思い通りにならないってだけで自分を不幸だと思って悲劇のヒロインぶるのばっかでヤダな…。図書館の中。そこで不幸自慢話に花を咲かせている暇人達の話を耳にしたオメガの美青年、ガクはそう思った。

――男感のある美貌。中肉中背で生理や誰かにレイプされ妊娠させられるリスクのあるガクは生理などがない幸せ者のアルファやベータばかり富む世界嫌いの売れない小説家。公私混同も職権乱用も責任転嫁も八つ当たりも逆切れも逆恨みもしないガクは子供好きの一匹狼。天涯孤独でカネに不自由しているガクは黒髪と碧眼の持ち主で色白のメガネ男子。カフェオレと山菜が好きな好青年でもあるガクは後日、少子化で大変な事になりつつある世界を救う為、好きでも何でもないアルファと結婚し子作りをする…と言う決断をした。

シャンデリアや螺旋階段がある豪邸。そこでイザナギは大臣仲間の男と酒を酌み交わしている。

――男感のある美貌。イザナギの瞳はルビーのような色で髪色は黒。肌色は見た者に健やかさを感じさせる色で体型は筋肉質。長身でユズキと言う名前のベータの恋人がいるイザナギはタチ。少子化対策大臣でもあるイザナギは刹那、大臣仲間に「少子化対策大臣が子供出来ない男と付き合ってるってバレたら問題だぞ」と言われた。

イザナギは考え事をする素振りをし始めた。

「…確かに」