第18話金稼ぎ
俺は、レミスを倒した後、王宮内の魔力がどんどん少なくなっていったので、俺の出る幕は無いなと感じ、ケールの酒場へと戻った。
俺が酒場のドアを開くと、大歓声が巻き起こった。
「龍真、お前は命の恩人だ!」
「ありがとう!」
「俺が飯を奢ってやるぜ」
と各人から、祝福された。悪い気はしなかった。そして、今ここに敵の魔力気配が無いことを伝えると住民の人達は安堵し、満面の笑みになった。
しかし、その中にはこの国の行く末が分からないので、心配している人もいた。
ケールは、俺の近くに寄り、無言で抱きしめた。
「あんたを最初疑ってごめんね…。あたしゃ店長失格だよ。」
「そんなことは無い思う…。あんたは町の人の命を優先に考えていた、それだけの器の人が店長失格なんて言うのは言語道断だろ。」
「嬉しいこと言ってくれるわね!」
そう言って、俺をもっと強く抱きしめた。俺は苦しくてダウンしそうになり、ケールの肩を強く叩いた。
「苦しいです!」
「あら、ごめんごめん。」
そう言って、ようやく俺を解放した。俺は息を整え、
胸を撫で下ろした。
「龍真ちゃんも座ったら?」
そう言われたので、俺は言われるがままに椅子に腰掛けた。そこでは、ビールを飲み明かしている人、無心に食べ物を買っている人、ギャンブルをしている人などがいた。
そのギャンブルを見て俺は目を疑った。カードを用いてギャンブルをしていたのだが、そのカードというのが、トランプそっくりであった。異世界でも、現実世界の似たようなものがあるんだなと今更ながら感心した。
俺がそのギャブルを見ていると大柄な男が手招きした。
「坊主、ギャブルに興味あるのか?」
「まあ、あります。」
「じゃあここ座れ」
そう言って俺は、ギャンブルが行われている輪へと誘われた。
他にギャンブルをやっている人はやせ細った眼鏡をかけた男性、厳つそうなお姉さん、見るからにヤンキーな若い男性がいた。
そして、大柄の男は俺に説明をし始めた。そのギャブルというのはいわゆるポーカーで、やり方はすぐに分かった。
しかし、問題はお金があまり無いと言うことだ。
俺はモジモジしていると、大柄の男性が俺に無言で一枚の紙切れを差し出した。
「1000エルクだ。ただじゃ貸さねーぞ、れっきとした借金だからな。」
そう念を押され、俺は100エルクの硬貨を10枚もらった。
ポーカーはもちろんのこと大人数でトランプをやったことがなかった。
現実一人寂しくゲームでしかやったことがない。
今振り返ると、悲しい人生を送っていたなと感じる。
「坊主、やり方分かったか?」
「ああ、あの俺はあなた方のことなんて呼べば…?」
「そうだよな。俺はウィリアム」
大柄の男はそう言ったが、ウィリアムとかお前の顔に合わないなとか思いながら俺は自己紹介を聞いていた。
そして、メガネをかけた男性が口を開いた。
「私は、ロッベルクだ。ディラーを務める。」
「あ、私?私はローレンだ。」
厳つい女の自己紹介は、やはり厳つかった。自己紹介になると恥ずかしがったりするみたいな属性だったら、ギャップ萌えするのにな、なんてたわいのないことを考えた。
「最後に俺は、カリットだ。」
見るからにヤンキーの人はそう答えた。
「龍真です。よろしくお願いします。」
俺は頭を下げた。一通り、自己紹介が終わると、ディラーをのロッベルクが、トランプを配り始めた。
俺の手札は、Jの♣︎と❤️以外は全てバラバラであった。そして、最初のセリが始まった。
そして、ローレンが最初にビットし、二枚出した。そして、どんどんレイズされ、俺の番が回って来る頃には7枚になっていた。
「コール」
俺がそういうと、他の人もコールし、1回目のビッドは終わった。そして、俺は他の三枚のカードを交換した。すると、もう一枚Jが増え、スリーカードの状態となった。
そして、ローレンがまたビッドをした。次にカリットがレイズをした。俺はコールをし、800エルクに収めた。
俺の金が少ないと言うこともあり、レイズはそこで終わった。そして、手札を公開する時となった。
俺はスリーカード、勝てる勝率は十分にある…。
一斉に手札をオープンすると、なんとウィリアムがストレートを出していた。
俺は絶望した。ただださえ、少ない金であるのに、もうチップは二枚。
「ちくしょう!次は買ってやる」
「威勢が良いなおまえ!カリットが金を貸してやる。」
そして、カリットから2000エルクを貰い、俺はまた勝負を始めた。
2時間後…。
俺は勝ちを重ねまくり、大金を手に入れていた。
「10万エルク…。嘘だろ!」
カリットは驚愕の声をあげた。俺も正直驚いた。やっていたらどんどん楽しくなり、気づいたらこんな大金が手に入っていた。
「おまえ、ポーカー支配してたぜ!」
そう言って、ウィリアムは笑っていた。しかし、それとは対照的にローレンは悔しそうな顔をし、俺を睨んでいた。
「龍真この屈辱は、絶対晴らすからな!」
女の人怖い!俺はその言葉を聞き、身震いした。
ギャブルを、果てしなくやったせいか、眠気が俺を襲い、俺は机の上に突っ伏した。
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