第6話 公国アルテミアの陰謀
「まず、何から話そうかしら?」
「早く飯食うか寝かせてくれ・・・。」
そういって俺は、大きなあくびをした。宿屋の明かりの中途半端な暗さが余計に眠気を誘った。
「聞いてくれたら、私が夜、サービスしてあげる・・・。」
と俺の耳元で言った。俺の体はゾクゾクと震え、急に眠気が覚めた。
「話は何でもいいぞ!」
「急に態度変わるわね・・・。」
エルゼはあきれた顔を浮かべていたがなぜかとても楽しそうであった。
エルゼはいったん呼吸を整えしゃべり始めた。
「私はこの魔力だから、魔導士のギルドとか入って活動はしてないの。まあ全部ひとりでかな。そんなのはどうでもいいんだけど、最近この国で不穏な動きがあるって風の噂で聞いてね。それがなんとも、魔族の中でも高位種族の魔龍の復活をもくろんでそれを操り戦争を仕掛けるらしい。それで、情報収集しているわけなの。」
「どう見てもめんどくさそうだな・・・。じゃあなぜその魔龍とやらを地上奪還するために使わないんだ。」
「ふつうそうよね、地上奪還はもっと大変なの・・・。この国はもともと資源が少ないだから、他国に攻め入って、資源を獲得するの。」
「そういうことな・・・。」
どこの世界でも資源の争いで戦争は起きるのか。俺は人間の醜さというものを改めて感じた。ろうそくはかなり小さくなっていた。
「本題は何だ?」
「もうわかってるんでしょ?」
「俺がそんな有能に見えるか?」
「ええ、もちろんよ。とんだ見当違いだ。まあ、お前は復活を阻止しようとか考えてるんだろ。たぶん無理だ・・・。」
そういうとエルゼは身を乗り出し俺に迫ってきた。そんなに近寄られるとだな男子は緊張するんだよ。
「なんで?」
「俺とお前二人で行っても必ず何人かはSランクだ。俺は魔法の使い方を分からないましてや、魔導士でも何でもない。確実に無理だ。」
「ええ、そうだけど何とかなるわ。」
「どっからその自信は湧くんだ?」
「分からない!」
そういって首を横にし無邪気な笑顔を見せた。普通の男はこんな笑顔をみたらすぐに落ちるであろう。しかし俺はそんな簡単な男ではないと自負している
たとえ迫られようとも・・・。たぶん落ちない。
「まあ魔導士にならなきゃ魔法を最大限に引き出せないから、明日王宮にいきましょう。」
「この国の王宮危ないだろ!狙われているわけだし。」
「それなら大丈夫!隣の私の母国、帝国アルトへ行くわ。」
「めんどくさいのだが・・・。」
「分かっているのよね。」
「しょうがねーか。」
そういって俺は頭を掻き、ベッドの上へと倒れた。しかしどういうことであろうか、ベッドは一つしかない。もうルイは爆睡中、俺とエルゼが二人寝る。それにしてはベッドの数が足りない。
「ベッドの数少なくないか?」
「だって人数偽ったもの!魔法で二人の姿を消して。」
「お前ちょくちょく法を犯すよな」
俺は微笑を浮かべた。そして、エルゼは俺に近づき俺の額に急にデコピンをした。
「久しぶりにわらった~。」
「そうか?」
俺はそう言ってベッドに横になった。その姿をみてなぜかエルゼはむすっとしていた。
「俺が床で寝るわ。とかないわけ」
「もちろんだ。俺もベッドで寝たいからな。」
「あんたぶれないわね。」
そういってエルゼも横になった。俺とエルゼの間にルイを挟み寝た。ちょうどろうそくは消え部屋は暗くなった。宿屋の窓から見える商店街の景色はまだ光がともり綺麗だった。
結局夕飯はお金を浮かせるためなしになったので俺の腹は終始なっていた。
しかしこの状況はかなり寝付けない。隣に美少女何か勘違いを起こしてもおかしくないレベルであった。俺は、仏教の荒行のように煩悩を捨てきり俺は眠りに入った。
俺は、窓から入ってくる日差しで目を覚ました。隣にはルイではなく、エルゼがまじかで眠っていた。ルイはというとベッドの下の方に転がり寝ていた。
どんな寝相だよと思いながら俺はほほえましく見ていた。
エルゼの服は少しはだけ、その息遣いで俺は生唾を飲んだ。
いかんいかんと俺は頭を横に振り煩悩を消した。
俺の腹は限界に達していた。
「腹減ったー。」
そして立ち上がり髪を整え起きるのを待った。
十分他あったであろうか、エルゼはだらしない顔を見せながら立ち上がり俺に
「おはよ」
と言い、洗面台に向かった。ルイはまだ眠っていたので俺がゆすって起こした。
かなりゆすっても起きなかったので苦労したが、やっと起き、洗面台へと歩かせた。
そして、準備を整え宿屋を出た。途中の商店街でサンドイッチを買い空腹を満たした。
その後空港へと向かった。空港ではスレイブがいたので、話しかけようかともったが、事情を話すのがめんどくさそうだったので、うまく隠れながら飛行船へと入っていった。
飛行船は、飛行機のようなシートになっていた。ルイは、初めての飛行船でかなりはしゃいでいた。
「龍真さん、すごいです。」
そういってまどの景色に食いついていた。俺は退屈そうにしているエルゼが気になった。
「母国に帰るのに浮かない顔だな。」
「まあね別に帰ってもあるのはいつもと変わらない風景だしね。」
「お前はもっとロマンチストだと思ったがな。」
「とんだ勘違いよ。」
なぜか、エルゼは不機嫌極まりなかった。そして、飛行船は二時間かけ、隣国帝都アルトへ向かう予定であった。
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