転生した元ボッチの俺は異世界魔道士として無双しているのだが
すだちレモン
八人の魔女
第1話最悪の転生
安息地とは何か、安息地とは周りの人間の支配が及ばない、至極快適な空間である。俺は、いつものごとく校舎屋上の秘密の場所へと向かっていた。
人と話すのが苦手だからというわけではない。話そうとすれば普通に話せるのだが、ただ単に面倒くさいだけだ。この場所にいれば、ゆっくり弁当が食える。
俺は、妹が作ったキャラ弁を開けた。断じて、これが見られるのを恥じていたからではない。断じてそうではない。
俺は、周りの絵にならない住宅街を見わたしては、ぼーっと箸を進めていた。
今日はやけに日差しが強かった。
俺は、弁当を食べ終え、あたたかい陽を浴びながら目を閉じた。
何分経ったであろうか、俺の目の前には見慣れない風景が広がっていた。
「明晰夢か?」
俺は、そんなことを考えながら頬をつねった。しかし、痛みはあった。
「どういうことだよ」
俺が慌てふためいていると、目の前には、絵にかいたような天使が舞い降りてきた。
そして、天使は両手を前でつかみ、目を閉じ驚愕の言葉を発した。
「田中 正真さん あなたはトラックにぶつかって死にました。そしてこの御霊を異世界に転生させてあげたく存じます。」
俺は何を言っているか全く把握できなかった。
「すいません、三点ほど突っ込ませていいですか」
「ええ、もちろん構いません。」
「まず、俺の名前、琴吹 龍真です。あと、屋上で寝ていただけです。異世界って何?」
さっきまで清らかな女性ぶっていた天使がとんでもなくあわてだした。
「あなたの名前は田中 正真ではないのですか?」
「ああ」
「そんなことはありません」
「あるから言ってんだろ」
「私が仕事をミスったと」
天使は深く落ち込み始めた。そして、さっきの威勢のよさとは逆転し、隅っこの方で呪文を唱えていた。
そして数分後、何かをひらめいたように立ち上がった。
「隠蔽しよ…」
すいません何か恐ろしことが聞こえたのだが。
そして、天使は笑顔でこっちに近づいてきた。
「琴吹 竜馬さんでしたね。手違いであなたの御霊を天界まで連れてきてしまったので、もう戻せません。」
「いやさっき、隠蔽しよとか聞こえたんですが・・・」
「も・ど・せ・ま・せ・ん」
とにこやかな笑顔で天使は言った。最悪だよこの天使。俺は心の中でそういったが、口に出すことはできなかった。
「その代わり、あなたにはチート属性でもつけますから。後、転生できる世界を選べます。」
俺は、ひどいセールスマンと話している気がしてならなかった。
「魔法の世界とか」
「もちろんありますよ、魔法の世界。えぐいですけど…。」
「えぐいとか聞こえたんだが・・・」
天使は明らかにいやそうな顔を浮かべ、ながらも笑顔で
「チート能力は、魔力無制限、全属性使用可、魔導士ランクS、魔力アビリティ【支配】以上となります。後、年は今と変わらないので心配は無用です。では、異世界ライフを満喫してください。」
こいつ明らかに話しそらしあがった。そして、目の前にドアが現れ、俺は吸い込まれていった。そして、天使は最後に重大なことを言ったのであった。
「魔王とかいるんで、気を付けて―。」
「それ先に言えよ~。畜生、クソビッチ天使が!」
俺はその言葉を吐き捨て、念願の異世界へと飛び立った。
俺は目を覚ますと人通りのの多いにぎやかな場所にいた。そしてとても雲が近く感じられた。俺は、大通りを抜けただひたすらに、外周を目指した。
すると、そこは船の港のようになっていて、下には地面があった。つまり、
この島は浮いているのであった。
「浮遊島?」
俺はあり得ない物理現象に困惑した。
「お兄ちゃん見慣れない顔だね。黒髪にその服。どっかの島の観光客?」
話しかけてきた人はこの空港の職員だと理解できた。
「ああそうだが。」
俺は話を合わせるため、嘘をついた。職員は丸刈りで、黒い制服を来ていた。
俺が、信じいられない風景に目を奪われていると、遠くから飛行船が飛んできた。これが、浮いている島々を飛んでいるものだと想像できた。
「地上には誰も住んでいないのか」
「おま!そんなことも知らんのか」
「ごめん、記憶を失っていてな。」
「そういうことなら、しょうがねー。昔の話だが、人類と魔族が対戦し人間は敗北し、島を魔法の力で浮かし、浮遊島ができたわけだ。」
「魔法か・・・。」
その時、俺のおなかが「ぎゅるぎゅる」とひどくなった。
男は笑いながら、
「お前、腹減ってるな、俺ももうすぐ仕事終わりるしおごってやるよ。」
そういって、男は親切にも俺に飯をおごってくれるようであった。
「そうだ、自己紹介まだだったな。俺は、スレイブよろしくな。もしかして、お前名前覚えてない?」
俺は記憶がないキャラをすっかり忘れていたが、名前ぐらいは憶えていることにした。
「ああ、名前は憶えている。名前は龍真だ、よろしく。」
そういうと、手を出してきたので握手をした。
こうして、俺の異世界ライフは始まりを告げたのであった。
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