ホワイトカーニング

結城十維

===第一部===

―始まりの終わり―

 ひゅー・・・どん。


 真っ暗な空を鮮やかな花が咲き、彩る。

 赤、青、黄色、緑。

 すぐに花火は暗闇に飲み込まれるが、また火玉が上空に上がり、音を奏で、暗闇を照らす。

 光りに照らされた隣の女の子が小さな声でつぶやいた。


「××」


「えっ?」


 花火の打ち上げ音で聞こえなかった私は彼女に聞き返す。

 彼女は花火の音に消えそうな声で、でも確実に光を灯した。


「すき」


 織姫と彦星が一年に一度しか出会えない、その日に。

 私は彼女に、そう。

 告白されたのであった。


 それは、私たちが出会ってから3か月ぐらいのことだった。

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