LATZ
ノーストゥデルタ
Runway00 突然の異変
ーカムチャッカ半島~アリューシャン列島に掛けての高度約1万メートル上空
~サウスポールカーゴ SG001便
『 サウスポールカーゴ001、
「
「機長、そろそろクルーを交代しましょう。」
「そうだな、交代要員に声を掛けて来てくれ。」
そして、副操縦士が今まで待機していたクルーを呼びにいく。
「今日も安全な
この時、レーダーに不自然な影が写っていることに誰も気付いていなかった。
~成田空港内洋上管制室~
管制官が見ている三方を囲うように設置された画面にはそれぞれレーダー、電子ストリップ、航空機の状態等が映し出されている。
「後はADSでのやり取りだからっと。」
「おおっ!今日はいつになくはかどっているねぇ。」
「主任!今の時間帯はそこまで
「そうか。でも気は抜くなよ。」
「はい。」
その直後、見ていたレーダーの映像が一瞬だけ途切れた。
「又か…」
「最近やけに多いですよね。」
衛星通信を使用しているため、この程度なら良くあることなのだが…この日は違っていた。
レーダー画面が元通りになった途端、二人は唖然とした。
「どういう事だ…あの空域で何が起こったんだ!?」
~ジャパンスカイ航空 JS025便 操縦席内~
「後は成田とADSを使ってやり取りするだけか。」
「機長!大変です!」
「どうした?落ち着いて話してくれ。」
「このレーダーの画像が異様じゃありませんか?」
「-何だこれは?まるでそこだけがこの次元の裂け目の様ではないか!」
「
「もう、距離がありません!無理です!」
「クソッ、ここまでか…」
機体に取り付けられたセンサー異常な気流を感知して警報音がけたたましく鳴り響く-
~成田空港内洋上管制室~
「機器の再チェック、及びもう一度片っ端から呼び掛けろ!」
カムチャッキー周辺を飛んでいた約100機近くの機影が
「全てダメです、応答しません!」
「今すぐに衛星画像を出せるか?」
「はい!」
今この管制室に居る全員の額に脂汗が浮いている。
「衛星画像出ます!」
衛星画像に映し出された映像は-
「どういう事だ?何とも無いじゃないか!」
「主任、電磁波及び赤外線画像を見て下さい!」
「この影は…」
「直ちに国交省に連絡!速くしろ!同時にNAI/CUNとの
「「はい!」」
~
「は!?何かの間違いじゃ無いのか?」
「このデータに間違いはありません。」
直後だった。
「NRTから連絡です!」
「何と言っている?」
「レーダーから
「ほう…
「よし、こちらのデータを送ると同時に向こうのデータも共有するよう伝えてくれ。」
「もうデータは添付されていました。」
「対応が早いな…んで、何のデータだ?」
「はい、今画面に写します!」
前方の大スクリーンに画像が映し出された。
「もうここまでしていたのか。」
~中央アメリカ
「ここまでするとはな…」
「これは酷い…」
彼らもまた、成田から送られて来たデータを眺めていた。
「ものの1~2分での全機消失、そしてこの謎の裂け目だ。最早訳が分からんな。」
「取り敢えず、太平洋路線は運行停止させるようにしておくと伝えてくれ。」
「了解しました。」
(JPNやNAIの見解はどうなんだろうな。)
~東京 総理大臣官邸~
「総理!国交大臣から緊急連絡です!」
「用件は?」
「はい。太平洋上空を飛行していた機体と通信出来なくなったそうです。」
「分かった。
「それが…衛星画像に一機も映っていなかったそうです。」
「何!?NSCを開いた後、NAIとCUNの
「はい。」
(1機も居なくなったとは…まさか撃墜か?もしそうなら何処の国がやった?
欧米系の
「そうだ、最後にもう1つ良いか?」
「何でしょう?」
「テロリストの犯行声明も調べておいてくれ。」
「了解しました。」
~北アメリカ先住民族連合
「ほう、それでテレビ会議を開いて欲しいと伝えて来たわけか。」
「ええ、しかしどうしましょうか?本当に承諾しますか?」
「まぁ、緊急通信を寄越してまで来たのだから良いだろう。『了解した。』と伝えてくれ。」
~中央アメリカ合衆国 首都 ワシントンD.C.~
「で、あの極東のトップがTV会談を提案して来た、と。」
「その通りでございます。大統領。」
「今現在で、どれだけ国民に影響が出ているのかね?」
「ざっと10万人以上かと。」
「う~む…そうか、他の国々はどう出ているのかね?」
「アジア・ロシア
「ヨーロッパ方面はどうだ?」
「ヨーロッパ
「うむ、一応承諾した、と伝えてくれ。」
「承知致しました。」
(あの謎の影は一体何だったのか、それが一番気になる点だ。JPNやNAIは人命救助優先だろうが、我々はその影のみを調査、そして我々の特区としてしまおう。
そうすることで、この世界の主導権はARSU等ではなく、CUNが握っていると、示す事が可能になる。
これまでも、そしてこれからもCUNは世界のトップであり続けると主張するのだ。)
~東京 総理大臣官邸~
「CUNとNAI、両方から承諾を取り付けたか。」
「はい。予定では会談まであと1時間後です。」
「分かった。それでは準備を進めてくれ。」
「承知致しました。」
―1時間後
JPN,CUN,NAIの首脳達がそれぞれディスプレイ上に表示されている。
「この度は、日本の提案だったTV会議が開催出来たことを感謝します。」
『いえ、我々NAIもどう対策をしていくかを模索しているところでしたから、丁度良かったんですよ。』
『CUNもNAIと同様、丁度良くて助かりました。』
「さて、今回の状況についてですが―」
この会談では現在置かれている状況、そして例の現象の解明に向けた交渉等が話合われた。
「―と言うことで、今回決定したことについて確認すると
①JPN,NAI,CUNを中心とした観測隊を編成すること。
②観測隊については各国から精鋭の研究チームを最大2チームまでとする。
③観測用機材は大方CUNが用意する。
以上の3つの項目が今回合意に至ったと言うことで宜しいですね?」
『あと1つ、観測用機材に関して各国独自の機材の持ち込みを許可する。も合意の条件に入れませんか?』
「JPNとしては問題ありません。」
『CUNも同様です。』
『ではその4つの条件と言うことで、宜しくお願いします。』
「ではそれぞれ合意議定書にサインを。」
3ヶ国の首脳達はそれぞれの端末に表示された議定書にサインを書き込んだ。
「各国のサインを確認しました。それではこの会議も終了と言うことで。」
『では、観測隊の編成も近々行うことでお願いします。』
『えぇ、ではまた。』
こうしてTV会議は終わりを告げた。
次の日、各国は昨日の会議の内容を報道発表した。
その反響は予想外に大きく、様々な研究機関がこの観測隊に名乗りを挙げた。
突然の異変が起きてから1ヶ月が過ぎた頃
ついに観測隊の編成が完了、
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