辶短編集 ~前菜にどうぞ~

辶(しんにょう)

第1話 デスクッキングラブハートMAX

世界にはいろんな人がいて、その数だけいろいろな職業がある・・・はず

でなにが言いたいのかと言うとこの物語はその職業に運命を刈られた少女二人の物語である、間違ったことは言っていない、しかし人はミスをするのだ、私だって人なのだ!!


一時間目:終わりの始まりラブハートMAX

「またこの夢、一体なんの」

 今日も私は夢をみた、留年する夢だ、今日は始業式

「今年こそ進級するぞっ!」

 そうだ、去年あんなことがあったけども今年こそは…


「まぁわかっていた気がしますが花山カヲルさんは今年も留年となりました、まぁガンバレ」

「以上校長からのお言葉でした、帰れ」


「なんでなんですか!」

 職員室だというのに叫ぶ女の子の姿があった、その子こそさきほどから独り言うるさい奴、花山カヲルである。


「なんでってわかってるだろ、お前がまだ魔法少女だからだよ、去年引継ぎを見つけられなかったんだろ」

「そりゃそうですよあんな仕事!誰が引き受けてくれるんですか!」

「わしは男だというのに魔法少女をみごとに引継ぎ40年にも渡り悪と戦い続けてきたんじゃぞ!で、ようやくその重みから解放されたと思えばお前ら二人の師匠のために教師としてまだここに在住しておるんじゃ!もう82才!82だぞわかってんのか!」

「くっ、文字詰め攻撃とは卑怯な・・・」

 

「失礼しました~」

 まぁ無理だった訳で、今年も魔法少女をやるハメになりました、はぁ~

この年でため息しか出てこない、というかなに男の魔法少女でまだ魔法熟女のほうがわかるけど、なんでその仕事引き受けたのよ・・・私もか。

「なにぶつぶつ言ってるの」

「あっ、先輩」

 彼女は田田田田ミ、私の所属の料理研究会の先輩で、この字でたたたたたたたみと読むそうです。ふざけた名前(笑)。

「カヲルちゃん、全部声に出てるわよ」

「すみません、ですからその出に持ったクッキー作るときに生地を引き延ばす棒で素振りを始めないでください、まじで」

「まじでが気にくわない」

「ヒステリー」

「五月蠅い」

 まぁこんな会話をいつもしているわけで、ちなみにですがこのあと25発殴られました、てへっ

あとこの人がもう一人の魔法少女だったりします。


「今年も案の定留年したわね」

「そうですね、早く引継ぎを探さなきゃ」

「いないでしょ」

「いないですよねぇ」

 その時スマホに連絡が届く、今どきはスマホに上司(先生)から連絡が届くのよ。

「オ山先生からだわ!」

「また怪人が出たみたい、行くわよ」

 そういえば、私たちの仕事のないようを紹介してなかったわね、魔法少女の使命、それは敵を殺すことただそれのみ。毎年年に一回なんらかの組織が怪人やら怪物やらを作ってそれを町に放ちます、それが週に一度ありそれを退治するのがお仕事です(時給350円、中学生だからって舐めてるよねっ)

「毎度おなじみ10分後に昇降口でね」

「はい、急いで着替えます」

 変身アイテムなんて非現実なものはないからこの学校の隠し部屋で着替えて電車で向かいます、もちろん無断なので欠席が重なり結果留年になってしまう訳です。

「この服もおへそが出てるから怪人の血や肉片が皮膚について嫌なのよね、セクハラで訴えられないかしら」

「でもこれがないと時給が100円下がるのよ、先に行って待ってるわ」

「は、はい、もー着替えにくいなぁこの服、誰がデザインしてるのよこのセクハラ服は」


いろいろなくて30分後

「俺は怪人名無しの権兵衛、お前らの名前を奪ってやる」

「あの怪人去年も見ましたね」

「あれは怪人ごますり男よ、多分使いまわしね」

「誰だ、俺の悪口を言っている奴は!!」


 これが始まりの合図、私は靴にセッティングされたマイクを取り出し歌いだす。

チャラ~

「誰だ~誰だ~誰だ~」

「毎度思うけど著作権料払ってるのかしら」

「知りませんよそんなの2ヶ月すぎた頃から気にしなくなりましたよ」

「でたな毎度おなじみ魔法少女、いい加減コンビ名を決めたらどうだ、俺も呼びずらいんだ」

「思いつかないわよそんなの!!とにかく覚悟」

 私たちの戦い方は魔法アイテムで巨大化させた料理道具なの、元々はメリケンサックでボコボコにしてたんだけど手がボロボロになって気が付けば手がめくれて中身が出てきちゃったの、だから先生に抗議したらこれになったの、素敵でしょ!


「魔法~シュラスコ!!(肉をさす鉄串のこと)」

 私がそれを矢のように降らす、怪人の喜ぶ声が聞こえる

「魔法~ミキサー(ミックスジュース作るやつ)」

 怪人さんはぐるぐる目が回って気が付いたらいなくなっちゃった、あれれ~帰っちゃったのかな?

こうして、今日もみんな笑顔で決着がついたわ、よかった。


後日談

「そういえばなんでお前ら料理研究会に入ってるんだ?」

「怪人さんがいなくなっちゃった時にお肉が落っこちている時があってそれがもったいないから料理して部員のみんなに配ってあげてるの」

「そ、そうか」


次回予告!!

「ついに物語に白馬の王子様枠キャラが登場!でも先輩にボディダッチしたら先輩の毒で手がカビだして・・・次回タツヤ君死ス!来週もラブハートMAX」




                            続かない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

辶短編集 ~前菜にどうぞ~ 辶(しんにょう) @ddramon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る