リア充破砕男と変態撲殺女

解場繭砥

プロローグ

プロローグ

 男と女が二人で逃げ続けている。


 手を取り合って逃げている。

 わけではない。物理的接触はない。


 運命を共にしている。

 わけでもない。そんな運命は望んでいない。



 二人は愛し合っている。

 わけがないだろうそんな。二人の相性は最悪だった。


 二人は、決して望んでもいないのに、やむにやまれぬ事情でたまたま行動を共にしているだけだ。同じ方向に走っているだけ、と思うのが良いかもしれない。


 リア充破砕男。犯罪者だ。


 変態撲殺女。犯罪者だ。


 リア充破砕男は、変態である。だから変態撲殺女は、撲殺する動機がある。


 変態撲殺女は、少なくとも過去にはリア充であった。だからリア充破砕男は、破砕する動機がある。


 つまり、二人はいつ殺し合い始めてもおかしくはない。


 それがおかしなことに、同じ方向に走っている。少なくとも二人はこんな運命を望んではいない。


 しかし、二人とも世の中に存在を望まれているわけじゃない。


 その点だけは、二人は仲間だった。


 しかしそこに友情レベルの感情すらなかった。

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