我が名は犬士郎
パンダMAN
第1話 来世ガチャガチャ
2012年6月23日部活帰りに雨の降るなかカッパを着て俺、相田光成(あいだみつなり)は自転車を家まで走らせていた。最寄りの駅の前を通り、パン屋の目の前の道を曲がった時だった。猛スピードの黒い軽自動車が現れ、俺の視界を埋め尽くした。
その後、身体中に痛みが走り目の前が真っ暗になった。
すると突然痛みが消え、どこからか声が聞こえてきた。
「ォーィ」
「オーイ」
目を開けると大きな大きな男が闇の中立っていた。
「あっ、やっと起きたね」
口角が少し上がり次の言葉を吐き出した。
「じゃあさっそく聞くけど君は生きたいかい?」
その大男から投げかけられた大雑把な質問に事故の衝撃でまともではなくなった頭を縦に振ることしかできなかった。すると、その大男はガチャガチャを取り出してまた口を開いた。
「じゃあこの『来世ガチャガチャ』っていう来世を決めるガチャガチャを回してちょうだい」
何を言っているのかわからなかったが言われるがままそれを回した。
グルッ
ゴロゴロゴロ
出てきた玉はただ大きく『犬』とだけ書かれていた。
「おめでとうございます!今日から君は犬でーす」
その大男がそう言い終わると足元に穴が空き体が吸い込まれていった。
「うわわわぁぁぁぁぁぁあ」
気が付くとそこには自分よりもはるかに大きい、可愛らしい女子高校生くらいの女の子が顔を近づけていた。またもや突然のことに慌てて俺は逃げ出したが、少し走っていると気づく事があった。自分がまるで犬のように手足が短く四足歩行であり、口を開くたびに「ワン」としか言えないこと、そして、鏡に写った自分が柴犬にしか見えないことに。
『えぇぇぇぇー』
我が名は犬士郎 パンダMAN @sasasin
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