夢想
mo_modoki
第1話
prologue _ _____________ _
孤独と諦観の死後、狡猾が見つけたとされる孤独が諦観に遺した書き置きに対する解釈の分類の例示
以下、内容
一文目から瘴気にあてられて吐き気を催すかもしれない誉れ高い数多の優秀な繊細さを持ち合わせて生まれてしまった稀有たる隣人に対する僕の無機質なオマージュとそれ※1とはあまり関係ないのかもしれない自己言及性を孕んだ簡潔な真情の表明の歪曲した発露。
これ※2はいらない覚書であり、君の人生にとっては無論公衆便所に落ちているトイレットペーパーに走り描かれた糞の形状のお粗末なスケッチよりも重要である。
見てわかるようにしているが、計算尽くでふざけている。敷衍をしていないのは意図的である。僕にもこじつけずし切れるか怪しいギリギリの瀬戸際を攻めてみたらこんな口調になっていた。なんらかの羞恥心へのコンフリクトを超越し得る自己愛にその意義を依存させた承認欲求への皮肉を孕んだパロディである。
遺される君に発露しているという事へのなんらかの自覚に基づくある種の真摯さはあるつもりでいる。それとしては、多分かなり劣悪であると自負しており、自身の欲求に対するなんらかの敗北宣言に近いものが混在する事は全く否めない。
無人島で暮らす人間が無意識に壊したボトルシップについての言及であるというささやかで愚鈍な、どこか愛らしささえ感じられるほどに滑稽な矛盾は、自家撞着で片付けさせてほしい。
僕は一人島に残り、ここで生き永らえる事を選んだ日からすでに、あるいはその時点では部分的に、もしくは現時点で普遍化が可能な概念上に存在する「僕」におけるくだらない逆説的な結果論として言うならば、その時にはすでに悉く、死んでいたことになるらしい。
君が遊び心でカエルのケツに火のついた爆竹を突っ込む無邪気な暴力性を今現在に至るまでに持ち合わせた事があるのかどうか、僕にはもう知る由もない。もちろん、それも踏まえた上での話ではあるが。
もしくは僕が配慮したいのはそれ※3ではないかもしれない。おどけるベクトルが正直全く分かっていないからこうなったとも言える。
この文章を一言で言い表すならば、ある解釈としては自己の至らなさ、愚鈍さ、無能さへの供給され続けるがゆえに尽きることがない耐え難い苦悩、あえて付け加えるならばそれの苦痛を伴った自虐的吐露である。
ちなみに僕にも今の所その暴力性※4は存在しない。
とりあえず存在はしないと思うことで僕は僕を保っていた。
君に泣き顔は似合わない。僕に笑顔が似合わないのと同じくらいにね。
ただ、眼前で静かに僕の存在への慈愛で涙を流す君を、ぼんやりと遠のく自我の中で事務的に、機械的に宥めている時、僕の核となる部分に確かに、君を内心ではただの美しい生き物としか思えないような、非道かつ低俗で汚らわしい支配欲に自我を束縛されたちっぽけな自分の存在を感じた。僕のためにこの美しい生き物は慈愛を心から溢れさせているのだと思い、それに暗く、闇い、冥い、昏い、ただ暗澹とした安寧を感じ、心がすぅ....っと虚無に至り、強い満足感、つかの間の儚い悦びを覚えた。またそれを覚えると毎度、一瞬の、深いぬるま湯の底なし沼に頭からつま先まで沈み切った時のような、ただぼんやりと沼を揺蕩うような自由で開放感のある短い無限の安心の末に、ハッとさせられ、その安心感を容易に凌駕するほどの凄まじい自己嫌悪に全身を強く苛まれた。
僕は僕の足に結わえ付けられた重しを深く、きっと誰よりも深く愛しているが、結局、ただ沈まぬよう踠き足掻くこと以外にとうとう自己肯定の手段を知り得なかった。
さめざめと泣く君を一瞬憎むことさえあったほどに、所詮僕も男というくだらない獣の中の一匹にすぎなく、それ以前に、ただの独善的な一匹の生き物であると強制的に自覚させられたのだ。
その自覚は、ただ純粋であったがために荒び、それは時に自分に向けられる凄まじい暴力性となって時に僕の身や心を容赦なく切り裂いたが、僕にはその「問答無用」で訪れた希死欲求に名前を付けることをしないでいれるだけの自己への傲慢さがあり、結果それは緩やかに僕の心を、身を全てを、着実に蝕んでいたのだが、こうなることが僕の全くの予想外だったかと言われたら、僕としては苦笑しながら肩を落とし、首を少しばかり横に振ることしか出来ない。賢い君が僕が君に抱いていたであろう感情に気付いていなかったとは言わない。君は強くて僕は弱かったというだけ。
先立つ不孝をお許しください。どうか僕を愛さないで。
僕より幼き母上様。
あなたを愛していました。心から。
僕はたとえ何度生まれ変わる事があっても、あなたより身も心も美しい女性を知ることはないでしょう。
どうか、どうか、あなたの僕に対する愛情が、僕からのあなたへのものより小さいものでありますように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます