【その2】

 「うわーー、ヤラレたーーっ!」


──BOMB!!!


 「おのれ、魔法少女アルキャロめ! だが、次回こそは、貴様らの最期だ!」

 画面の中で、ポムッと妙に軽い爆発音とともに吹き飛ばされる怪人(?)と、それを物陰から悔しげに見守る悪の幹部(?)。

 『──こうして、アルキャロの活躍により、星河丘の平和は守られた。だが……』

 お約束なナレーションに続いてエンディングロールが流れていく。


 「…………何、これ?」

 「え、アルピナスくん、知らないの? 今、お茶の間で人気急上昇中のCGアニメ『ふたりはアルキャロ』だよッ!」

 いや、直球過ぎてパチもんクサいタイトルとかはどうでもいいんだが。

 な・ん・で、極秘任務なはずの俺たちの影の世界との戦いが、堂々とアニメ化されてんだよ!?

 まぁ敵の魔物とかは、いろいろデフォルメかかった絵柄になってるからまだいい。アイツらをリアルに描くと、R-18G指定されそうなグロさだからな。

 けど! 主役の魔法少女ふたりの造形が、一応ハイポリゴン化されてるとは言え、どう見たって、アルピーノとキャロラインぢゃねーか!

 てか、アニメ中の名前とかもまんまだし。

 (さすがに変身前の姿は、「女子中学生の親友同士」って設定になってたけど)


 「だいたい、この星河丘市が舞台ってローカル過ぎるだろ。どうせなら、架空の町とかデッチあげろよ」

 「地域密着型ヒロインだって、評判だよ?」

 ご当地ヒーローか、俺達は!?

 そうツッコミかけて、実態もそう変わらないことに気がついて俺は頭を抱えた。

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