第2話
「して、お主はなぜこんな森におるのだ?」
「えっと…」
煉が転生のことについて言っていいものか分からず言葉に詰まっているとイキシアの方から
「もしや、お主は転生者か?」
そう声をかけてきた。
「えっ、そういうのって分かるものなんですか?というか珍しくはないんですか?」
驚いた煉がそう聞くと
「そう固くならんでも良い。まあ転生者は珍しくはあるが全くいないわけでもない。儂はこう見えて長年生きておるのでな、そのくらい何度も見ておる。」
「そうなのか。でも、どうして転生者だと分かったんだ?」
「ふむ、転生者は必ず人気のない場所に現れる。こんな辺鄙な森の奥に一人でおった上に変な格好をしておったのでな、もしやと思ったのだ。」
「なるほど。」
煉はこの世界で転生者として名乗ってもいいとこに安心した。転生者と名乗って問題があるとしたらステータスの称号欄を見られた時困るからだ。
「申し遅れたな。儂はイキシア=アルストロメリアと言う。お主も名乗れ。」
「俺は、えっと…レンと言います。レン=シンドウです。」
「レンだな。儂のことはイキシアと呼べ。愛称などで呼んでくれても構わんがな。」
「分かった。それで、イキシアに一つ聞きたいんだが、ここはどこなんだ?それとイキシアは何でこんな森に?」
「ここはだな、通称[魔の森]と呼ばれる危険地帯だ。高ランクかつ高レベルの魔物が至るところにおる。儂がここにいる理由はこの森が儂の土地だからじゃ。」
「ここってそんな危険な場所だったのか…。でも、俺は1度も魔物に遭遇してないぞ?」
不思議に思った煉がそう聞くと、イキシアは煉の運がいいだけだと言った。本来ならば森に少し踏み込んだだけで数十体の魔物に襲われてしまうらしい。
「ところでレンよ、お主は行く当てはないのだろう?」
「確かにないな。これからどうするか…。」
「ならば儂の仲間にならんか?」
「え、でも魔王って…。俺は人間と戦ったりしたくないんだけど…。」
「お主のいた世界ではどんなイメージになっておるのだ?別に魔族は人族に仇なしたりなどせぬぞ?」
「えっ、そうなのか?でもなんで誘ってくれるんだ?」
「何、ただの気まぐれだ。それで、儂と共に来るのか?来ないのか?」
煉は迷っていた。どんな待遇になるのかという不安もあるが、なによりこの世界で行く当てがないとはいえ、通りすがりの少女(見た目だけ)の世話になるのは気が引けたからである。
「う〜ん、イキシアについて行くとしたらどんな待遇になるんだ?」
「まあ、儂の側近、もしくは従者のような扱いになるだろうな。お主の場合はまず信用を得ることから始めねばならんからな。」
「信用を得る前から王の側に置いとくことはいいのか?」
普通は兵士などとして働かせてから信用を得るのでは?と思った煉だったがすぐに間違いに気づいた。
「あ、一番強いイキシアが監視したほうが安全なのか。」
「そういう事じゃの。まあ、お主からは異世界の知識を貰う目的もあるのじゃが。無論、初めは出来ることだけやってもらうし無理はさせん。対価は支払うし衣食住の保証もさせてもらうぞ?」
「それ普通に日本企業より待遇良いじゃんか…。」
こうして煉はイキシアについていくことになった。
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