シークアンドソート

ノブ

隣の家に住んでるアイツとは。性別から始まり、全てがことごとく自分と違う。

雨が別に嫌いじゃないと言うと、アイツは雨なんかふざけるな大嫌いだと言う。

アイツには妹がいて、こっちには弟がいる。しかも見事に性格が真逆っていう。


数学があまり好きじゃないと言えば、数学は楽しいと目を輝かせて言ってくる。

国語が好きだと言えば、縦書きの文章じたいが好きじゃないから嫌だと苦い顔。

理科は得意じゃないけどそこそこ好きかもと言えば、そこそこ嫌いだと遠い目。


柔らかい皮のシュークリームが好きだと言えば、アイツは固いのが良いと言う。

しょう油だんごが好きだと言えば、しょう油なんてあり得ない断然アンコだと。

カレーライスよりハヤシライスが好きだと言えば、絶対カレーと眉をつり上げ。


サッカーが好きだと言えば、いやいや野球のほうが良いとスイングしてみせる。

ゲームでもこっちが剣の近距離戦が好きと言えば、魔法の遠距離戦サイコーと。

もちろん動物の内容でも、犬のほうが好きな自分に対してアイツは猫が好きだ。


こんな感じで本当にことごとく違う自分とアイツだけれど、唯一。本当に唯一。

お互いにそうだね、と共感できる内容が一個だけあって。その貴重な共通点は。

今朝、学校までの道でも思った感情。隣を歩いてたアイツも思っただろう感情。


「コイツが嫌い」という事だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

シークアンドソート ノブ @nobusnow198211

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る