○○ちゃんのかわいい妾ちゃん
春野 一輝
チャプター1 何故凡人は輝けないのだろうか。
校門――なんか卑猥なきもする。ソレ。
自分はそこから、やっぱりというか、動けずにいた。
「行きたくない――。」
すでに対人恐怖症の気が出始めていた。だらだらとアニメのように汗が零れ落ち、手をぐーぱーさせている。
母はここの”変わった人”なら、自分にも合うだろうと言ってこの高校を進めてくれたものの。
自分もこの世界にじぶんと”あう”ものなんて、感じたことはなかったものだから。
何よりも”勉強”の問題が自分自身を気を重くさせていた。そればかりはここの門を通らないといけない。
少なくとも”卒業”を手にするのだ。
そう言って卑猥な――じゃなかった、ただの校門を通って中に入る……べきだった。
何を考えたのか、私は今、裏門を通って学校内に侵入している。
華麗なる、耽美で、美しく、カレーな、跳躍力が決まったのが幸いか、学校の門をくぐらずとも侵入することに成功した。
もう、はっきりここで言ってしまおう、私は”ヒト”が怖いのだ。
ん?何?最初に聞いた?
そんなことはどうでもいい。
カサカサと、スネークしながら学校の裏に広がる庭を通り、目的地を探す。
校長室であいさつをしてから、教室に案内されるはずだ。
しかし。
ココハドコダ――!?ワタシハダレダ――!?
アーアーアッ――!
アナ―ッ!
迷子である。
「ひぃいっ」
何かに当たった。
にゅるにゅるとした何かが、私の脚の――脚の――間を駆けていったのだッ!
尻もちをつき、どこかのゴキブリの様にケツのみでカサカサと這いずってでもその物体から遠ざかる私。
「ぷっくっく」
しかもそんな失態を誰かに見られて……んおぉ?
学園の人とは違う”格好”をした彼女はいったい誰だというのだろう――??
「なんじゃ凡夫か。」
紅いドレスに、皮のような黒いベルトに身を包んだ姫のようないでたちの少女。
少なくともこの学校に相応しくない格好をした少女は、
「だははっ、そうなんですぅ……私、ちょっとおっちょこちょいでぇ……ッ!」
あく、あく、あくっと声を出すたびに、喉のなかに緊張が走る。
だ、だめだ、何か失態をしてしまう、き、緊張のあまりに、何か変なポーズをとって誤魔化しそうになる。
それは……まずい。(恥ずかしさ的な意味で)
「じゃ!」
くるりと背を向けて、今来た道とは反対方向に進もうと、背を向け、がさがさと中庭の木々の間を縫うようにして、逃げた。
「なんじゃつまらんのぅ。のう、ヌク。」
ルビーの目をした白い蛇が、紅いドレスの彼女の首に巻き付き、逃げ帰りゆく少女の背中をキラリと見送った。
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