塩っ気の多い君が
小鳩 そると
一品目
今日の夕飯はパスタか、美味しそうな匂いが部屋を包む。私は米粒を口につけながらにこにこと笑う君を見るのが好きだ。日々の疲れなんかを忘れられる気がする。
「今日も美味しいね」
そうだね、今日のご飯もおいしくて、目の前には君の笑顔が置いてある。いつもと同じ台詞を放ちながら。
ガタッ
君が席を立って電気プラグを差して眠る。
ダメじゃないか。"ごちそうさま”を聞いていない。
またおしえなくては、
君の寝顔を眺めて視線を落とすと腕の"003”が目に入る。
ガシャン
台所で音がした。不審に思い立ち上がりそろりと覗く。
ソルトと記された瓶が転がっていた。
__
日差しがカーテンの隙間から顔を見せる。今までの人生で私は気持ちの良い朝という実感を覚えた記憶がない。そう。寝起きがとても悪いのだ。正直起きたばかりなのにもう寝たい。いや、だからか?
昨晩の夢はよく覚えていない、もしかしたらみていないのかも分からないな。
のそのそとあるいているうちにも時間が過ぎていると知りながら、いまだ昨晩の夢のことを布団の上で考えていた。
さっさと朝食をとって学校へ行きたいのに足と手とが言うことを聞いてはくれない。今日は一段と冷え込むのだ、とてもじゃないがでられなかろう。
それでも時間は来てしまうので重い足取りで洗面所に向かい顔を洗い口をゆすぐ。
いまだ半開きの目を擦りながら台所へ向かう。
どうして朝は来てしまうのだろうと嘆きながらパンをオーブンに投げ入れる。
焼いている間にすこしヨレた制服に着替える。着替えた後に気づく。アイロンまたやってない。
コーヒー...は苦手なので水を注いで飲む。
小説を片手に準備をしていると異様な香りが流れてくる。なにかしただろうか。
そう思った時思い出す。
パン。忘れてた。
急いでパンを取り出すも、もう手遅れでした。
ほぼ炭となったその物体。もったいないので食べます。バターを塗って頬張ります。
炭の味を噛みしめながら時計を見ると、もう出なくてはならない時間でした。
早急にリュックを背負い外にでます。
そのまえに、危うくまた忘れるところでした。
和室に入り写真の前に座り、
いってきます
そう言って足早に家を出ました。
塩っ気の多い君が 小鳩 そると @kobato_Kei
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