泥にまみれた太陽
佐野 和
プロローグ
吐いた息がゆっくりと広がっては消える。
陽子は黙って息を吐き続ける。
夜空に一筋の光が見えた、気がした。
昔は煙草を吸っているジェスチャーや炎を吐き出す恐竜の真似をよくしたものだ。
あぁ、懐かしい。
泣き腫らした目に再び涙が滲み、溢れる前に服の裾で拭う。
もう一度深く息を吐き、消えるまで見つめたあと、目を閉じた。
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