予備の勇者として転生した俺は魔王を倒すために力を貯める。
ショウ
白色の世界
目を覚ますと世界は真っ白に染まっていた。
俺という存在以外はなにもない。
壁も白、地面も白、天井も白。
全て真っ白に染まっている。
全て同じ色であるため繋ぎ目もなく、まるで真っ白な宇宙空間にいるように感じる。
ただ、立っているという自覚があるから地面はあるのだろう。
此処がどれくらい広いのか、それとも狭いのか、全てが白いため距離感を掴めない。
「どうして自分は此処にいるのだろうか?
此処は夢なのだろうか?
それとも俺は死んでしまったのだろうか?」
声に出して、そんな疑問を呟く。
俺しか居ないこの場所でそう言っても、誰も答えてはくれず、無意味な言葉として流れていった。
色々、疑問は抱いたが、一先ず、歩いてみる事にした。
なぜ歩くのか、それに対して理由は無いが、何もせず、立ったままでいるのはどうにも性に合わなかった。
裸足で歩いてはいるが、足音はなく、周りの光景も変わらないので、本当に歩いているのか分からなくなってしまう。
それでも歩き続けた。前がどこかも分からないけれど、上がどこかも分からないけれど、ただ無意味に歩き続けた。
そして、
白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白
白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白
歩いても歩いても、全てが白という事実に俺は廃人寸前にまで追い込まれていた。
どれくらい歩いたのだろう?一週間?1ヶ月?それとも一年?もっと多いかもしれないし、もっと少ないのかもしれない。
ただ事実として、どれだけ歩いても何も変わらないというのは分かった。
肉体の疲れは全く無かったが、心が折れてしまったせいか、その場に座り込んでしまった。
俺はどうすればいいのか?何か此処から出る方法がないのか?これからどうなるのか?そんな事を考えては、答えを見出せずにいた。
そして俺は目を瞑った。もう何もかも全て消えてしまえと、思いながら。そしてそういえば此処にきてから何も食べていないと。
「うん?ここって時間止めてなかったけ?
あ〜あやっちゃったなぁ、かれこれ2ヶ月かな?彼をここに入れてから。
まさか、この世界の中でたった2ヶ月しか経ってないのに廃人になるなんて。
うーん、やっぱ後回しにするとか考えたらダメだね。
まぁ、僕のせいじゃないよね。人の心が弱いのが悪いんだし、
まぁ、それでもこのまま置いておくのは、流石に可哀想かな。
おーい、僕を認識できる?
あ、返事なしだね、君は僕を無視するのかい?というかピクリとも動かないね。君。
このままじゃ話が進まないし、ちょっと起きてもらうよ。」
何もない真っ白な世界で、ソレはそう言い放った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます