予備の勇者として転生した俺は魔王を倒すために力を貯める。

ショウ

白色の世界

目を覚ますと世界は真っ白に染まっていた。


俺という存在以外はなにもない。


壁も白、地面も白、天井も白。


全て真っ白に染まっている。


全て同じ色であるため繋ぎ目もなく、まるで真っ白な宇宙空間にいるように感じる。


ただ、立っているという自覚があるから地面はあるのだろう。


此処がどれくらい広いのか、それとも狭いのか、全てが白いため距離感を掴めない。


「どうして自分は此処にいるのだろうか?


此処は夢なのだろうか?


それとも俺は死んでしまったのだろうか?」


声に出して、そんな疑問を呟く。


俺しか居ないこの場所でそう言っても、誰も答えてはくれず、無意味な言葉として流れていった。



色々、疑問は抱いたが、一先ず、歩いてみる事にした。


なぜ歩くのか、それに対して理由は無いが、何もせず、立ったままでいるのはどうにも性に合わなかった。


裸足で歩いてはいるが、足音はなく、周りの光景も変わらないので、本当に歩いているのか分からなくなってしまう。


それでも歩き続けた。前がどこかも分からないけれど、上がどこかも分からないけれど、ただ無意味に歩き続けた。



そして、




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歩いても歩いても、全てが白という事実に俺は廃人寸前にまで追い込まれていた。




どれくらい歩いたのだろう?一週間?1ヶ月?それとも一年?もっと多いかもしれないし、もっと少ないのかもしれない。


ただ事実として、どれだけ歩いても何も変わらないというのは分かった。



肉体の疲れは全く無かったが、心が折れてしまったせいか、その場に座り込んでしまった。


俺はどうすればいいのか?何か此処から出る方法がないのか?これからどうなるのか?そんな事を考えては、答えを見出せずにいた。


そして俺は目を瞑った。もう何もかも全て消えてしまえと、思いながら。そしてそういえば此処にきてから何も食べていないと。










「うん?ここって時間止めてなかったけ?

あ〜あやっちゃったなぁ、かれこれ2ヶ月かな?彼をここに入れてから。


まさか、この世界の中でたった2ヶ月しか経ってないのに廃人になるなんて。


うーん、やっぱ後回しにするとか考えたらダメだね。


まぁ、僕のせいじゃないよね。人の心が弱いのが悪いんだし、彼女・・のせいとも言えるし。うん、やっぱり僕のせいじゃないね。

まぁ、それでもこのまま置いておくのは、流石に可哀想かな。


おーい、僕を認識できる?


あ、返事なしだね、君は僕を無視するのかい?というかピクリとも動かないね。君。


このままじゃ話が進まないし、ちょっと起きてもらうよ。」




何もない真っ白な世界で、ソレはそう言い放った。
















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