第8話 『池袋母子餓死日記』について
今からちょうど21年前、東京池袋で77歳の母親と41歳の息子が餓死するという痛ましい事件が起きた。
母親は餓死の直前まで日記に残していて、公人の友社から『池袋母子餓死日記覚え書き(全文)』という本で出版されている。
内容は率直に言って不気味かつ壮絶である。息子は障害で寝たきりになっており、年老いた母親が介護しているというだけでも痛ましい状況であるのに加えて母親も精神疾患に罹っていた。
そのため日記には謎の数式とか幻覚を見たといった記述が目立ち、文章も支離滅裂だ。しかし蓄えが尽きていくにつれて悲壮感が増していき、最後の日には「一緒に死なせて頂きたい。後に残った者が不幸だから」という言葉で締めくくられている。
事件後、豊島区幹部は「日記は処分した」と虚偽答弁をしたが実際は一部が残っていて、本になったのはその部分である。最近になって新装版という形で再刊行された。
生活保護拒絶といった区役所にとって都合の悪い内容が書かれていたため虚偽答弁をしたのではないかという疑いがかけられたが、読めば「そもそも表に出して良いものなのか」と思うぐらい壮絶な内容であることがわかるはずだ。機会があれば是非手にとって頂きたい。
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