そらとこころ

nagayashi

今日と明日

わたしは、空をみるのが好きです。

空をみると、自分をさまざまな角度から、広いこころでみれる気がするからです。



毎日同じ時間に起きて、同じ人にあって、同じ場所に向かう。

同じリズムを永遠に刻むものに操られ、同じ音を聞き、同じ場所に座る。

つまらない と思う。


ある人は言った 当たり前のことにいつも感謝をしなさい。

また、ある人はニュースを見て言った いつも健康に生活できることに感謝しなさい。

その言葉はわたしが何にも感謝してないように見えるから言っているのか、それとも、大人になったら言わなきゃいけないのか、この歳になると大人の言っていることがすべてきれいごとのような気がして何とも言えないような気持ちになる。


毎日同じ時間に同じあいさつをして、同じ人と、同じ坂道を下る。

変わっているのは何だろう。

天気、信号が変わるタイミング、すれちがう人。

同じ坂道を下ったあと、横断歩道をわたり、左に曲がった。

そういえば、私が家に帰るとき広い景色がみえる、いつも小石をけったり、蟻をみたりしてるけど、その日はたまたま遠くをみた。薄っすらと隣町のビルがみえた。

そのビルを中心にしたように、赤い夕日のグラデーションが広がっている。

きれいだなぁとこころから思った。いつも下ばっかみてたけど、空っていいなと思った。


次の日、いつもの場所でまあまあ仲の良かった友達が自分の悪口を言ってると聞いた。正直どうでもいいだろう、気にしない、気にしないと自分の心にいいきかせた。

こころがモヤモヤする。まあ皆もう少しで別々の道に行くんだし気にすんな。と思う自分もいる。空をみた。 薄い灰色のそらの向こうから紫のようなオレンジ、小学生のころ何も考えずに絵を描いた筆をバケツにいれたときのような色が広がっていた。

わたしはそらが、 自分のこころのモヤモヤの光を照らしてくれてる気がして、明るくなった。


次の日、自分の進路のことで悩んだ。この先わたしはどうやって生きていくのかなと思った。頑張るのみなのに、わたしにはその頑張るということができない。頑張ろうとしない自分にイライラする。自分は頑張っているつもりなんだけどなというごまかしはもういらないと思う。結果は自分の頑張りと比例する。わたしはそう思ってこの先頑張ろうと決心した日でもあった。空を見た。 紫色の空に迷いはなかった。まっすぐ先まで続く色は背中をおしてくれているようだった。


わたしはいつもいつも自分の気持ちと空を比べて空の声をきいた。自分の気持ちを確認した。

気づいたのだが、わたしはひとりでいるのが怖かったのだと思う。誰かに共感してほしかったのだと思う。

今度からはあまり深く考えずに失敗を恐れずに自分の気持ちに正直になろうと、初めて空をきれいだなと思った日と同じような空を見て感じた。

同じ には、過去と今を確認したり、小さな違いから、小さな幸せを見つけさせてくれる力があると思う。




毎日同じ時間に起きて、同じ人にあって、同じ場所に向かう。

同じリズムを永遠に刻むものに操られ、同じ音を聞き、同じ場所に座る。

つまらない と思う。でも悪くないなと思う。


同じにはいろいろな力があるときれいごとを言ってみたけどやっぱりつまらない。

でもわたしは、同じがあったから空に気づいた。じぶんの気持ちを整理できた。


毎日同じ時間に同じあいさつをして、同じ人と、同じ坂道を下る。


今日の空はどうだろう。遠くをみる。


変わらない毎日に そら が加わる。





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そらとこころ nagayashi @hime0531

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