第41話

「ええ、これからやることがありますから」


「そう、残念ね」


「本とノートは元に戻しておきますから」


「いいわ。私がやっとくわ。今日はもう、それくらいしか仕事がないから」


「一日の仕事が、本とノートをすぐそこにある倉庫に返すだけなんて、いいですね。代わってあげたいです」


上条は思わずそう言いかけたが、すんでのところで止めた。


「そうですか。ありがとうございます」


「じゃあ、また来てね。お友達も一緒にね」


「はい、わかりました」


「お邪魔しました」


史料館を出て車に乗り込むと、桜井が言った。


「それでは、今日はこの後ずっと、巫女探しをやってね」


「どうやって?」


「そんなもん、こんな時はネットに決まっているでしょう。大学に行って、そこ等へんのやつを捕まえて聞いてみて、条件ぴったりおつりなしの巫女を知っているやつなんて、いると思う?」


「いないな」


「それじゃあ下宿に帰ったら、寝食惜しんで好きなだけネットサーフィンしてね」


「それで見つかるかなあ」


「それはやってみないと判らないよ。見つからないかもしれないからやらない、と言うなら、あえて止めはしないけど」


「わかったよ。やるよ。やればいいんでしょ」

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