第282話幻覚?

「ちょっと待った!」


そんなことを考えてたら、嫁(自称)の幻聴まで聞こえてきた。


「一樹、キミは騙されてるんだよ」


はっきりと聞こえる幻聴だなあ。


そう思い声がしたほうを見る俺。


そこにはエミリーとは別の、金髪美少女がいた。



「これは幻覚なのか?」


エミリーとは違い、ショートカットの金髪。


いつも俺をからかう自称嫁である。


オリヴィアは走り寄り、俺の前で止まった。


「一樹、正気に戻って。ボクのことを忘れちゃったの?」


そう言いながら、ショートカットのほうの金髪は俺の肩をつかむ。


「思い出して。ボクと愛を誓った日のことを」


「おい、つかんで揺らすのはやめろ」


頭がくらくらするんだが。


「わたくしと共に、困難に立ち向かおうと決意した日のことも思い出してください」


そう言ったのは。俺の近くまで近寄っていたマイシスター。


「どっちも記憶にないよ」


変なものをねつ造しようとしないでくれ。


「シット、変なのが来たね」


忌々しそうな声を出す米軍人。


「よくここが分かったね。米軍内でもできる限り秘密にしていたのに」


「もしもの時のコネだよ。本当に役に立つ日が来ると思わなかったけど」


「ふん。イギリスにすり寄るスパイがいたわけだ」


エミリーでも、米軍内のすべてを見通すことはできなかったらしい。


「それよりも、前回より増えてるんだけど。私ひとりじゃ満足できないってことかな?」


探るような目でエミリーは俺たちの後ろを見ている。


「旦那がモテるのは、嫁の自慢にはなるんだけど」


振り返って確認すると、いつもの女の子が全員来ていた。

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