第281話ビジネス

「ハーレムだよ。もちろん私が本妻だけどね」


huhuと笑う。


「どうやって作るんだ?」


ネットで募集するわけじゃないよな?


「カズちゃんが今日、ずっと一緒にいたのは誰?」


「そりゃ、お前だけど」


何故こんな当たり前のことを聞くのだろ?


「私以外だよ」


「お前の仲間がいたっけな」


いなくなったから忘れてた。


「それが答え。チームがハーレムだよ」


「マジか?」


まさか、自分の仲間を使うとは。


「しかし、無理やり合わせてもらうのは……」


俺が原因で、自由恋愛が出来なくなってしまうんじゃないだろうか?


「それなら大丈夫だよ。あくまでビジネスだから」


「どういう意味?」


さっぱり理解できない。


「彼女らには自由に恋愛してもらい、それでカズちゃんが好きにしたい時にだけ集まる。ビジネスハーレムだね」


「ええ? そんなの嫌だよ」


それって、ただの不倫なのではないだろうか?


「まあまあ。私がカズちゃんの嫁になるのは本当だし」


hahahaと笑い声が響く。


「でもさ、私と一緒にいて楽しかっただろ?」


「うん。ビジネスハーレムは御免だけど」


いくらタイプの違う美女でも、既婚者がいるのは困る。


「でも、私が本気なのは本当だよ。カズちゃん以外の男を、作る気なんてないし」


huhuhuと彼女は笑う。


「そう言ってくれるのはありがたいけど……」


「カズちゃん」


エミリーは目を閉じた。


まるで、キスを待っているかのように。


夕焼けが彼女のほっぺたを染め、潮風が金髪を揺らす。


美貌と相まって、とても魅力的に見えた。


これは、やってもいいんだよな?


と思って俺は顔を近づける。


でも、みんなを裏切ってるような。


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