第245話筋書き

「叔母に対処?」


マイシスターが何を言っているか、いまいちつかめない。


いずれ故郷に戻り、一族内で地盤固めをするときの話なのか?


「自慢話のようになってしまいますが、わたくしにはそれなりに魔法の才能があります」


「それは知ってるよ」


幼少期に監禁に近いことされていたとはいえ、桜子は一般人に近い状態だった。


それでも先祖返りに近い形で、強い魔法の才能を発言させたというのが、研究家である佐伯氏の見立てだとか。


「今まで一生懸命訓練を重ね、周囲に能力が認められるようになりました。政府からは専用機を作ってもらえ、一族の中にもわたくしを支持してくれる人が現れてくれます」


そこで一瞬言葉を切る。


「本当はそれよりも、お兄様と再会できたことが一番うれしいのですけどね」


桜子は笑顔で言った。


おそらく、作り笑顔ではないのだろう。


真横に可愛い女の子がいて、俺は思わずドキッとする


「おばさまは、おばあさまの実の娘です。わたくしが現れなければ、彼女が一族を継いでいたでしょう。ゆえに、わたくしは嫌われているのです」


「それは仕方ないんじゃない? お前がインチキして、認められたわけじゃないんだから」


分家の出身とはいえ、桜子が一族の内外で支持されているのは事実だ。


魔法に限らず、どの業界でも実力勝負なのだろう。


「今は先延ばしにしていますが、おばさまとの因縁ともいえる関係は、いずれ清算しないといけないのでしょう。その時に必要なのは、わたくしを支えてくれる伴侶です」


そのまま俺をじっと見つめてくる。


「それが俺じゃないといけない理由は?」


ほかの男に可愛い妹を渡したいとは、1ナノミリも思っていない。


とはいえ、厄介なことに巻き込まれたくないので、予防線だけ張っておく。


「お兄様の人柄が一番ですね。自分本位な考え方をする人は、どんな世界であっても嫌われるでしょう」


「俺は自分がやりたいようにしか、やっていないんだけどなあ」


その結果信頼を得れているので、感謝すべきことなのだろうか?


「それに、昔の付き合いもありますわね。魔女は所詮、魔法が使えるだけの人間ですからね。あからさまな政略結婚には、反発を覚えるわけです」


「幼き日から想い合っていて、再会したから結婚すると言う筋書きか?」


確かに幼き日は桜子に会うため、桜のある神社に通い続けていたが。


その時の感情が恋だったとは思えない。


「その通りです」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る