第219話マナー

「実戦を意識した模擬戦を何回かやり、魔法を技にしたりしています。簡単に負けることはないでしょう」


壇上の少女は、自信があるような言い方だった。


どうやら、それなりの鍛錬をしているらしい。


「実際にやってみないとどうなるか分かりませんよね。実際に結果が出るかは、誰にも予測できないので」


成果を出してたくさんの人から認められているのが先輩である。


先ほどの言葉が、自分に対する当てつけであると理解したはず。


従妹だけあってか、眉がゆがんで目が吊り上がる様子は先輩によく似ていた。


「なるほど。よしかお姉さまの弁護をしているんですね」


作りものであるだろう笑顔だった。


「これだけ愛してくれる男性に出会え、うらやましいですわ。しかし、今日はわたくしが主役の集まりですので。おほほほほ」


会場にも笑いが広がる。


どうやら、俺が絡んだのはギャグとして処理されるようだ。


「仲良くしてくださるかのご返事は追々として、今日は懇談しましょう」


ののはは個々人と話をし、自分の指示を訴えるのがねらいであるだろう。


名家の一員なだけあり、それなりの会場を貸切ってのお披露目会である。


会場には豪華だと思われる御馳走がならんでした。


「困った。俺にはこの場のマナーなんて、わからないぞ」


自慢じゃないけど、借金生活だったからな。


「わたくしもですね。我が一族は、こういうことになれていないんですよ」


桜子の一族は時の権力者に従っても、ほかの一族との政治的なつながりは薄いらしい。


それが現在の世も続いているみたいだ。


「後ろの2人は言うまでもないだろう」


俺もだが、こんな高級ホテルに、来たことさえなさそうだし。


「できるだけボロを出さないように気を付けよう」

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